スカウトは大阪桐蔭・前田悠伍の“伸び悩み説”を「全く気にしない」甲子園エースをホンネ評価「最もワクワク」「カーブと直球が光った」のは？

　約2カ月後に控えている今秋のドラフト会議は、大学生の投手が豊作と言われている。ただ、プロ野球スカウトをうならせる成長を見せている高校生投手も少なくない。パ・リーグの球団スカウトの1人は、今夏の甲子園で特に評価を上げた投手3人の名前を挙げる。

仙台育英の151キロ腕・湯田に対する評価

　1人目は、慶応との決勝戦に先発した仙台育英・湯田統真投手。チームでは背番号10を付けているが、今大会は6試合全てでマウンドに立ち、そのうち4度に先発した。

　慶応戦は“完全アウェー”と化した球場の雰囲気にペースを乱したが、スカウトの評価は揺るがない。特にインパクトを残したのは、先発した準々決勝の花巻東戦の投球だった。

花巻東戦での湯田　©Hideki Sugiyama

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　4回1安打、無失点で、8つの三振を奪った。高校通算140本塁打を記録している花巻東・佐々木麟太郎選手も力でねじ伏せ、直球の最速は151キロを計測した。スカウトも「打者が直球を待っていても、ファウルや空振りを取れる球威があります。伸びも強さもある質の高い直球」とうなる。

　スライダーとチェンジアップを勝負球にできるところも長所で、110キロ前後の緩いカーブも織り交ぜる。打者が直球に警戒するからこそ変化球も活きており、奪三振率の高さが湯田の特長となっている。スカウトが語る。

「時々、力が入り過ぎて投球が高めに浮いてしまうこともありますが、コントロールを気にして小さくまとまる必要はありません。リリースポイントに力を集中する技術が高く、フィジカルを鍛えれば球速はもっと上がると思います。相手チームの主軸やピンチにも動じない性格も投手向きだと感じています。早期に一軍の戦力にするなら中継ぎ、将来的には先発ローテーションを任せられる力があります」

沖縄尚学・東恩納は「審判のストライクゾーンも…」

　2人目は沖縄尚学・東恩納蒼投手。スカウトは「今夏の甲子園出場投手で完成度が最も高い」と評した。準々決勝の慶応戦は6回に6失点と崩れたものの、初戦のいなべ総合は完封、3回戦の創成館は1失点で完投した。沖縄大会は5試合で31回1/3を投げて無失点と抜群の安定感を見せた。

沖縄尚学・東恩納蒼　©Hideki Sugiyama

　東恩納の武器はコントロールにある。140キロ台の直球、縦と横に変化する2種類のスライダーを内外角に制球する。5回までは3安打、無失点だった慶応戦では、これまでに投げていなかったフォークを解禁して相手を惑わす器用さも見せた。完成度が高いと評価する理由をスカウトが説明する。

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