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「リバプール移籍は…正直、信じたくなかった」ブッフバルトが“功労者”キャプテン遠藤航へ別れの言葉「ワタルはワタルのままで」
posted2023/08/27 17:01
text by
円賀貴子Takako Maruga
photograph by
Getty Images
2019年8月から4シーズンを過ごしたシュツットガルトから、リバプールへ去った遠藤航(30歳)。ドイツでその移籍についての情報が初めて伝えられたのは8月16日のことだった。
それから瞬く間に移籍が決まり、遠藤は19日、夢だったプレミアリーグのピッチを踏んでいた。同日ボーフムとのシーズン初戦を迎えたシュツットガルトでは、誰もに慕われたキャプテンがブンデスリーガ開幕直前に突然いなくなったことに驚き、ショックを受けている人たちがたくさんいた。
その一人が、シュツットガルトのレジェンドであるギド・ブッフバルト氏である。日本との縁が深い同氏はこれまで、キャプテンにまでなった遠藤のことを誇りに思い、温かい目で見守ってきた。遠藤のリバプール・デビューから数日後、炎天下の南ドイツのある街で開催中のサッカーキャンプで子供たちを指導中の同氏に、その胸中を語ってもらった。
ギドの本音「正直、信じたくなかった」
ワタルがリバプールに移籍する、すでに現地入りしているというニュースを読んだ時、私は正直、信じたくなかった。なぜなら私は「遠藤航」が「シュツットガルト」というクラブにとって、売却不可能な選手であることを確信していたからだ。
近年、ワタルはこのチームの顔であり、チームが降格しないことを保証する選手だった。そのプレースタイルとそこに表れる闘志、ピッチでの絶大な存在感で、シュツットガルトの誰からも認められ、愛されていた。だから彼がリバプールへ行ったことは、シュツットガルト・ファンたちの全員にとって大きなショックだと思う。
一方で、イングランド、プレミアリーグでプレーすることは、どの選手にとっても夢だと思う。ある程度年齢のいった選手にとってはなおさらのことだ。だから、リバプールというトップクラブでプレーしてみたいと願うのも、私には理解できる。
とにかく、ワタルの移籍はシュツットガルトにとって大きな損失であることに間違いない。ワタルを中心とするチームを作るつもりだったし、そういう補強をして、ワタルと共に将来へ向けて進んで行こうと言っていたのだから。いや、口だけでなく、実際にそういう計画であり、現実的な話だったんだ。