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「リバプール移籍は…正直、信じたくなかった」ブッフバルトが“功労者”キャプテン遠藤航へ別れの言葉「ワタルはワタルのままで」 

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円賀貴子

円賀貴子Takako Maruga

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posted2023/08/27 17:01

「リバプール移籍は…正直、信じたくなかった」ブッフバルトが“功労者”キャプテン遠藤航へ別れの言葉「ワタルはワタルのままで」<Number Web> photograph by Getty Images

新天地リバプールでデビューを果たした遠藤航。シュツットガルトでの活躍を見守ってきたブッフバルト氏は感謝を述べた

 ワタルはいつももの静かで理性的。ポジティブな考え方をする。シュツットガルトではとてもプロフェッショナルな仕事ぶりで、全てを自分の職業に捧げる姿に私はいつも感銘を受けたものだ。本物のプロフェッショナルで、どんなチームにとっても絶対に利益になる。そんなに喋る方ではないけど、彼が何か言う時には、チーム全員がきちんと聞いていた。ピッチ上では常にできる限りのパフォーマンスを見せていたね。

「背中で引っ張る」と言っていたらしいけど、真のキャプテンというのは、そんなに声高になる必要がない。もちろん、本当に何か話すべきことがある時、チーム内に何かネガティブな流れがあると気づいた時には、介入しなくてはならない。チーム内で監督の右腕として行動しなければならない。そうするだけの自然な威厳を、ワタルはシュツットガルトで非常に早い段階で身につけるようになっていた。

 ワタルの試合で私にとって一番特別だったのは、やはり、2シーズン前の最終節、92分に自らの得点でチームを救ったあの試合(2022年5月14日のケルン戦。2−1)。

 緊迫した状況にへこたれず、コーナーキックからヘディングゴール。見事にブンデスリーガ残留を決めた。ワタルはギリギリの試合の時には必ず何かをするんだ。ナーバスになることなく、チームを引っ張って突き進む。彼の存在感と、得点・アシストで試合が決まったことは何度もあった。

「ワタルはワタルのままでいい」

 これまでシュツットガルトでそうしてきたように、これから先も持ち前のポジティブな姿勢でしっかりやりさえすれば、リバプールでも必ず自分の道を切り開くことができるはずだ。チームの中での自分の位置を確保できると思う。

 キャリアの中で、新たに大きな一歩を踏み出した。でも、ワタルはワタルのままでいればいい。自分のパフォーマンスとサッカーだけに焦点を置いて。そうすれば、周りのみんなが助けてくれるだろう。そもそも彼のプレースタイルはイングランドで好まれるはず。1対1に強く、闘志に溢れているところ、それでいて肝心なところで解決策を見つけられるところ……だからシンプルに、今まで歩んできたように、これからも自分の道を進み続ければいいよ。

 またどこかで再会できればいいなと願っている。

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