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総合商社、広告代理店、コンテンツ会社代表、海外でMBA取得…日本一に挑んだ“偏差値70超え”難関国立大アメフト部「最強世代」の“その後”
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by取材対象者提供
posted2023/08/26 11:04
弱小校だったはずの一橋大アメフト部が日本一に挑んだ2007年。その立役者たちのその後の人生は…?
総合商社、広告代理店、海外進出…一橋大アメフト部の「その後」
その常木は卒業後、大手総合商社の三井物産に入社した。
もともと留学することを考えて大学に入学していたように、世界を舞台に働くことに興味があった。入社後はロシア駐在も経験し、その楽しさも経験できた。
一方で、高校・大学とスポーツに携わってきて、そこで成長する楽しさも学ぶことができた。そして、そういった喜びをもっと多くの人に伝えたいという思いもあった。
「商社時代にインド駐在が決まりかけて、ここで行ったら5年は帰れないだろうなというのがあった。だから、辞めるならこのタイミングしかないかと思って」
商社を退社後は、元陸上日本代表の為末大さんの会社のCOOとして子どもたちへの陸上競技の指導などに携わってきた。そしてこの8月からはMBA取得を目ざしてスペインの大学院に渡っている。
最後まで不安を抱えながらサインプレーを思案し続けたあの1年のように、常木はいまも自身をアップデートし続けている。
加藤も卒業後は同じく別の大手商社に入社した。
現在はオーストラリアに駐在しながら、日々の業務をこなしている。
「商社の仕事はやっぱり色んな方向をむいている人を取りまとめて、同じ方向を向かせてプロジェクトを進行することだと思うんです。そういう意味では大学時代のアメフト部の経験というのは非常に大きい。そこで学んだ経験というのは、本当にそのまま仕事にも活かせていると思います」
理路整然と質問に答え、話しているだけで伝わるクレバーさは、オフェンスを率いた司令塔らしい。仕事面での有能さもひしひしと感じさせるものでもあった。
渡辺は大手広告代理店の博報堂に入社した。
「もともと岐阜の田舎出身なのもあって、公務員か銀行員しか仕事ってないと思っていたんです(笑)。それが、ずいぶん楽しそうな仕事をしている人たちがいるんだなと思って。それで広告代理店に入ったんです」
現場で経験を積み、2014年には同社を退職して独立する。2017年には「CHOCOLATE Inc.」を立ち上げ、映画・アニメ・キャラクター・広告など、様々なコンテンツを生み出す同社の代表取締役を務めている。
同じく広告会社に入社した千田は、現在は主に健康食品周りの広告を扱う業務に従事している。
「個人のスキルを発揮しつつ、組織としてどうチーム力を向上させるかを考える点は、今の仕事にも通じていると思います。アメフトと同じ熱を向けられる仕事に出会えたのは本当に幸せだったなと」