2年春になると今度は右足の甲に自打球が当たって骨折。2年秋になると左足の肉離れが再発した。3年の春になっても肉離れの症状はいっこうに回復の兆しがなく、ようやく秋のリーグ戦に何度か出場し、最終学年を迎えた。

　それでも主将を託された河合は進路をプロ一本に絞り奮起。4年春は二塁手としてベストナインに選出、日米野球の大学日本代表にも名を連ねた。

　しかし、ケガが多かったことに加え、社会人野球のレベルの高さに触れたこともあり、卒業後は翻意して地元のトヨタ自動車へ加入。1年目から日本選手権の優勝に貢献し、優秀選手にも選ばれた。

　だが、社会人野球のフィールドに立ってもケガは常につきまとった。左足太ももの肉離れの再発、さらに2019年には試合中に飛び込んだ時に右肩を脱臼。毎週2度、片道1時間以上かけて運転し、岐阜県の病院まで通院した。

ルーキー時代の河合　©︎TOYOTA

「ケガって『我』に『怪しい』と書くじゃないですか。だから、ケガは必然的に起こるもので、自分に何か原因があるのだと思っています。高校の時に大藤（敏行）先生（当時監督、現・享栄高監督）に口酸っぱく言われていたので……。ただ、今思うと、若い頃はケガに対する警戒心が薄かったのかもしれないです。大学でも、もっとその辺り（ケアなど）に向き合えば良かったなと。自分の甘さもありました」

9年間でシーズンフル出場はゼロ

　社会人2年目からは毎年のように入院し、振り返ると社会人野球9年間でシーズンフル出場したことは一度もなかった。

　気づけば年齢も20代後半に差し掛かり、周りには後輩も増えた。ここ数年間は、必ず身体のどこかに痛みを感じ、その度に苦悶する毎日だったこともあり、自分の限界について少しずつ考えるようになった。そして毎年のように引退していく先輩を見るたびに、自分もいつかユニホームを脱がなければいけないという怖さを感じていたという。

法政大学を経て、トヨタ自動車に加入した河合完治。9年間プレーし、昨季限りで現役を退いた　©︎TOYOTA

　結局、河合は日本一になった高校時代以上の成績を残すことはできなかったのかもしれない。30歳となった2022年シーズンを区切りとし、引退を決断。それでも地元の強豪チームであるトヨタ自動車のユニホームを着て野球をしたことを誇り、感謝している。

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