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「負けたら、野球を辞めていた」甲子園決勝でミスをした球児から漏れた衝撃的な言葉…全国制覇した“中京大中京の最高傑作”のその後

posted2023/08/18 11:04

 
「負けたら、野球を辞めていた」甲子園決勝でミスをした球児から漏れた衝撃的な言葉…全国制覇した“中京大中京の最高傑作”のその後<Number Web> photograph by Fumi Sawai

日米親善高校野球で高校日本代表のキャプテンを務めた河合完治(中央)。写真は当時のチーメイトだった今宮健太(ソフトバンク、左下)らと

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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2009年夏、19分間にも及ぶ“反撃”を凌いだ中京大中京ナインは、悲願の全国制覇を達成したにもかかわらず呆然としていた。チームで主軸を務めた三塁手・河合完治は、自らが起こした信じられないミスを責め、痛烈な言葉を残した。【全2回の最終回/#1へ】

 2009年夏の甲子園、中京大中京vs日本文理の決勝戦は後世に語り継がれる大熱戦だった。

 6度の優勝を誇る中京大中京が10-4と大きくリードして迎えた9回表に、2死走者なしから新潟県勢初優勝を狙う日本文理が1点差まで詰め寄る驚異の追い上げを見せた、あの試合である。

 反撃の火に油を注いでしまったのが、「あとアウト1つ」という場面で簡単なファウルボールを見失ってしまった三塁手の河合完治だった。

 プロ注目野手のまさかのプレーを目の当たりにしたスタンドは、異様な雰囲気に包まれていく。最後は河合のグローブに収まるサードライナーによって「19分間」にも及ぶ猛反撃に終止符が打たれたわけだが、試合後の河合の表情は最後まで緩むことはなかった。

「野球を辞めようと思いました」

 当時の開口一番のコメントは今も鮮明に覚えている。

「これでもし負けていたら、野球を辞めようと思いました」

 ありのままの感情ではなく、咄嗟に発した言葉だったのだろう。31歳となった今、改めて振り返る。

【次ページ】 「呑気に野球なんてできない」

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