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なびく髪、週休2日制、異色のユニフォーム…甲子園初出場・浜松開誠館の「高校野球離れ」した柔軟さ 元プロ監督は“筋肉>技術”改革に着手
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/08/11 11:04
他に類を見ないカラーリングの浜松開誠館高野球部のユニフォーム。MLBのダイヤモンドバックスがモチーフという
筋トレ重視で「週休2日制」が導入…!
昨年のシーズンオフから導入したウエイトトレーニングは当初、元プロ野球選手で技術的な指導を重要視していた佐野にとって、やきもきするメニューだった。
なにせ、練習の「週休2日制」を無条件で強いられるわけである。
「筋肉を分解させて、回復させる時間が必要なのはわかりますけど、専門家に意見を聞くと『ウエイトをした翌日は休養を入れないといけない』ということで」
意識改革後の取り組みを、佐野は不得意な分野だと言い「俺、やることないじゃん、と思うこともあります」と笑う。
そんな本音とは裏腹に、成果は伴った。
スクワットなどの重量が上がれば、確実にピッチャーの球速アップへとつながる。このような成長データをきっかけとして、佐野は野球を可視化するようにもなった。打率やヒット数、打点など実戦での成績とも紐づけし、選手起用への重要な参考資料となっている。
斬新なユニフォーム。自由な髪。週休2日。
今年の夏、甲子園に新たな風を吹き込んだ初出場校。浜松開誠館には、旧態依然の高校野球とはかけ離れたキーワードが並ぶ。
確かに改革はあった。だからといって、それが「高校野球も改革する」と同義ではないのだと、佐野は言った。
「そういう大それたことより、105回も続く夏の大会の伝統や重みを噛みしめて野球をしていきたいという気持ちのほうが強いですね」
佐野が訴えたい本当の改革とはきっと、もっと身近にあるはずなのだ。
それは、監督が変われば、チームも変わる、ということ。
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