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『ウマ娘』公式SNSも注意喚起…なぜ牧場見学で“マナー違反”が繰り返されるのか?「この30年で最悪」「人馬ともに大怪我をする可能性も」

posted2023/08/02 17:00

 
『ウマ娘』公式SNSも注意喚起…なぜ牧場見学で“マナー違反”が繰り返されるのか?「この30年で最悪」「人馬ともに大怪我をする可能性も」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

タニノギムレットやローズキングダムなどが余生を過ごすヴェルサイユリゾートファーム。同牧場もSNSやホームページで注意喚起を行っている

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Kiichi Matsumoto

 4年ぶりに行動制限のない夏が来た。

 避暑を兼ねて、札幌競馬場でレース観戦をし、さらに日高の馬産地まで脚を延ばして牧場見学をする――というのは、競馬ファンにとって、贅沢この上ない旅である。

 現役時代は手の届かないところにいたスターで、近寄りがたいオーラを放っていた名馬たちも、引退後は、放牧地でのんびりと草を食べていたり、馬房で寛いでいたりする。そんな姿を見ているだけで心が安らぐし、サラブレッドの「第二の馬生」に、ごく短時間でも立ち会うことによって、競馬の奥深さ感じることができる。

繰り返される「マナー違反」の数々

 最近は、大ヒットした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場する元競走馬に会ってみたいと牧場を訪ねる新たなファンも多いという。

 ただ、一部には、勝手に牧場の敷地に入り込んだり、馬に触ったり、食べ物を与えたりといった禁止行為をするファンもいて、たびたび問題になっている。

 それを受け、昨年秋には『ウマ娘プロジェクト』の公式Twitterが、【引退名馬の見学について】という標記で、引退名馬を見学する場合は「競走馬のふるさと案内所」に確認し、各牧場への直接の連絡は、牧場運営の妨げとなるので控えるよう注意を促した。

 また、今年2月には、オジュウチョウサンなどを繋養している日高町の「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」が、Twitterで、休場日や営業時間外に勝手に入場することをやめてほしい、と投稿した。

 さらに、かつて繋養していたウイニングチケットのたてがみが切られる被害を受けたことのある「うらかわ優駿ビレッジAERU」は、これまでは禁じていなかった名馬に触れることを、8月1日から禁止すると発表した。その文書によると、最近は時間外に敷地内に入ってきたり、車で厩舎のほうにかなりのスピードで進入してきたりする例もあるという。

 それに関してAERUのスタッフが引退馬関連のポータルサイト「Loveuma.」に「苦渋の決断」として書いた記事では、先日、ビッグレッドファームで繋養されているコスモバルクに一般のファンが触っている写真がツイートされて炎上したことに言及している。

【次ページ】 人馬ともに大怪我をする可能性も…

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