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“凱旋門賞より遠い”BCクラシックを制覇…フォーエバーヤング“年度代表馬の可能性”を考察「じつはアメリカでも議論に」「JRA未出走は過去一例のみ」
posted2025/12/27 11:03
BCクラシックを制したフォーエバーヤングをねぎらう坂井瑠星。有馬記念では同馬主・同調教師のシンエンペラーに騎乗する
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Getty Images
凱旋門賞は「いつか勝てる」と思っていたが…
日本の競馬界の悲願というとフランスの凱旋門賞が知られているが、これまで1999年のエルコンドルパサー、2010年のナカヤマフェスタ、2012、13年のオルフェーヴルと4回2着になってはいるものの、いまだその頂には届いていない。
それでも、少なくとも私は、遠からぬうちに日本馬が勝つと思っていたし、今もその考えは変わっていない。それよりも、アメリカのダートGIのほうが日本馬にとっては遠いタイトルだろう――と、あちこちで話したり書いたりしていたので、フォーエバーヤングと同じ矢作芳人厩舎のマルシュロレーヌが2021年にBCディスタフを勝ったときには心底驚いた。世界一サラブレッドの生産頭数が多い国のメイントラックのGIを日本馬が勝つシーンを、私が生きているうちに見られるとは思っていなかった。
これが日本馬によるアメリカのダートGI初制覇であった。ひとつ牙城を崩した。とはいえ、最高峰のBCクラシックは当分勝てないだろうと思っていたら、フォーエバーヤングが勝ってしまった。それも、昨年1、2着になったシエラレオーネ、フィアースネスらを力でねじ伏せて。
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2月のサウジカップでは香港最強馬ロマンチックウォリアーにマクられて、一度は完全に前に出られながらも差し返すという、信じられないほどの脚力を世界中に見せつけた。
次戦のドバイワールドカップこそ3着に敗れたが、一年のうちに海外のGIを複数回勝ったのは、2016年に2勝したモーリス(チャンピオンズマイル、香港カップ)と、2019年に2勝したウインブライト(クイーンエリザベス2世カップ、香港カップ)、2021年に3勝したラヴズオンリーユー(クイーンエリザベス2世カップ、BCフィリー&メアターフ、香港カップ)だけだ。BCを勝ったラヴズオンリーユーはその年、JRA賞最優秀4歳以上牝馬と、アメリカのエクリプス賞最優秀芝牝馬に選出された。年度代表馬は皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念を勝ったエフフォーリアで、このときはほとんど異論は出なかった。

