【4】相洋高（神奈川）・渡辺怜斗捕手「徹した”世話女房”」

　来年はドラフト候補が何人も出てきそうな2年生投手陣をリードしてチームを牽引した相洋高（神奈川）・渡辺怜斗捕手（3年・176cm75kg・右投右打）は、春も夏も見事な奮戦ぶりだった。

　春は強豪・横浜高を破って準優勝。この夏はその横浜高に敗れて、それでも激戦・神奈川のベスト8だ。

　年下の亭主と組んで、まさに「世話女房」に徹した。

　夏のキャリアの少ない投手たちがひるまないように、すくまないように、いちいちマスクを外して表情を見せながら、勇気付けたり、なだめたり。

　マウンドに行っても、口だけじゃない。投手の体にさりげなく触れて、揺れる気持ちをちゃんと鎮めて帰ってくる。

　ファウルチップが膝上のプロテクターで隠れていない箇所に直撃しても、笑っているからスゴいヤツだ。経験があるからわかるが、急所の次に痛い場所。転げ回って痛がったっておかしくないのに、2年生投手に心配させたくないから、ムリして笑って……見ていてこっちのほうが涙が出た。

　二塁送球1.8秒、遠投100m。でも、そんな数字は関係ない。こういう男が、本当の「キャッチャー」なんだ！ ごほうび出場でもなんでもいいから、甲子園でマスクをかぶって欲しかった。

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