甲子園だけだと見逃してしまう…！ 取材記者が明かす、地方大会で敗れてもなお注目の「高校生ドラフト候補」5人＜投手編＞

　炎暑の中の熱い、熱い闘い……各地の甲子園予選が終わって、出場校が出揃った。

  今年も、今から開幕が待ち遠しくなるような逸材たちが全国から甲子園球場に集うことになる。一方で、あの選手たちは今ごろどうしているのだろう。惜しくも、各地の予選で敗れ去ったあのピッチャー、あのバッターたち。

  ３年生の夏、高校野球最後の熱い舞台をこの目で見届けた選手たちの記憶をたどりながら、どうしても甲子園の舞台でそのプレーを見たかった、見せたかった逸材たちを振り返りたい。

  まず今回は「投手」からいこう（全2回／野手編へ）。

【1】飯塚高（福岡）・藤原大翔投手「本格派のスライダー」

　甲子園のマウンドでは、まず、投げっぷりの潔いフレッシュな投手が見たい。生きの良いピッチングのできる本格派右腕。この春のセンバツなら、光高・升田早人（今夏山口県大会・初戦敗退）。昨年の夏なら富島高（宮崎）・日高暖己（現・オリックス）だ。

  飯塚高（福岡）・藤原大翔（３年・178cm74kg・右投右打）の真っ向から向かっていく果敢な腕の振りには、胸がスッとした。

  最速148キローー私が見た試合では、そこまでは上がらなかったが、コンスタントに140キロ台前半をマークし、インパクトでバットを圧倒しながらファウルでカウントを追い込み、鋭いスライダーでバットの芯を外す。

  そのスライダーがいい。速球以上の猛烈な腕の振りで、速球と同じ軌道からカッとタテに動くその「変化点」が打者に近いから、打者は速球だと思って振り始め「アッ」と思った時には打ち損じている。

  渾身の投球で三振を奪い、悔しがる打者を背中越しに振り返って視線を投げる。そんなしぐさにも、「投手」としての矜持が芽ばえ始めているのを感じる。

  入学した頃は二塁手だったそうだ。そこから、投手を始めて、およそ２年。

  大きな舞台での経験もなく、正直、まだ新米気分なのではないか。それでも、ことさらベンチを気にすることもなく、さあ、次はどいつだ！とばかりに、打者に向かっていく。

  ６月の練習試合では、横浜高の強打線相手に７回投げて４失点で切り抜けたという。発展途上の投手としては、多少打たれたって、強豪相手に投げられたという事実のほうが、確かな「自信」として積み上がっていく時期だろう。

  伸び盛り、怖いもの知らずの時期だからこそ、甲子園のマウンドで、自身の成長のためにも、さらにいろいろな目に遭って欲しかった。

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