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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英22歳「今季が最後のチャンス」マドリーとバルサ撃破、子供が日本語で「ありがとう」…カメラマンが撮った“珠玉のタケ写真”
posted2023/06/26 11:01
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
2022-23シーズンの欧州サッカーは、カタールW杯による中断期間があるというイレギュラーなものだった。
そのW杯で日本代表は2勝1敗(しかもドイツ、スペインに勝利)でグループステージを突破。ラウンド16で対戦したクロアチア相手にまたしてもベスト16の壁を突破することはできなかったが――日本中がサムライブルーに沸いた。
ただ久保建英にとっての初舞台は、不完全燃焼で終わりを告げていた。
ドイツ戦、スペイン戦で先発出場するも、2試合ともハーフタイムでの交代を余儀なくされている。特に自身がプレーするスペインとの対戦には特別な思いがあっただろうが、守備重視の戦術で臨んだ中で、その割を食った。
またクロアチア戦では、体調不良で高熱を出し、ホテル観戦することしかできなかった。大会後に「チームのためにやることはやれたけど、自分のやりたいことはできなかった」と後悔の言葉を残した。
そこから、ソシエダでの逆襲が始まった。
前髪にメッシュを入れた久保の姿が
メッシが悲願のトロフィーを掲げた決勝の死闘から2週間弱、12月31日。久保の所属するレアル・ソシエダはオサスナをホームに迎え、リーガ再開初戦を迎えた。
W杯からの心機一転だっただろうか、スターティングイレブンの中に前髪にメッシュを入れた久保の姿があった。
試合は、久保とのパス交換から、ブライス・メンデスが先制点を奪った。久保のラストパスが相手に当たっていたという判断から久保にアシストはつかなかったが、直接的にゴールに関与するプレーだった。この頃には、スタジアム内外で自然と〈TAKE〉と書かれたユニホームを纏うサポーターの姿が目に入るようになってきていた。
そして第17節、ホームでの対ビルバオ戦は、今季の久保を語る上で外せない試合だった。久保は1ゴールの活躍でバスクダービーの勝利に大きく貢献したからだ。
ファーストタッチで相対するDFをかわし、迷わず2タッチ目で左足を振り抜いた。スペイン代表でもある相手GKウナイ・シモンの指先を掠めるようにボールがゴールへ吸い込まれると、久保は――全ての雑音を忘れ去るように――ユニホームを脱ぎ、サポーターのもとで喜びを爆発させた。
さらには相手を退場に追い込むPK獲得によって、怪我での長期離脱から復帰したばかりのオヤルサバルの復帰ゴールも演出した。久保は交代時、大きなスタンディングオベーションで送られた。
試合後、久保が残した「プレシーズン、今季がサッカー選手として飛躍する最後のチャンスかもしれないと感じていた」という覚悟を聞いた。この試合での久保のセレブレーションの意味、そしてソシエダメンバーとしての奮闘を改めて噛み締めることになった。
クロース、ブスケツら名手を相手も臆さずに
1月中旬にはリーガと国王杯の連戦があった。