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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英22歳「今季が最後のチャンス」マドリーとバルサ撃破、子供が日本語で「ありがとう」…カメラマンが撮った“珠玉のタケ写真”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/06/26 11:01
ラ・リーガ2022-23シーズン終盤戦に入って、久保建英の活躍ぶりは目を見張るものだった
W杯中断は、ソシエダにとっては恵みの休暇となり、怪我人の回復が期待できたはずだったがシルバ、メリノら怪我人が多発していた。その中でバルサ、マドリーの2強との連戦が組まれるなど、底力が試される時期となった。
国王杯バルサ戦では敗退を余儀なくされたが、ブライス・メンデスが退場となり数的不利な状況で、久保の一騎当千の戦いは見るものの心を熱くした。
続くは、リーガ第19節サンティアゴ・ベルナベウでのマドリー戦。シルバ欠場の穴を埋めるため、バルサ戦に引き続き久保はトップ下を務めた。なお守備時には、バルサ戦ではブスケツ、この試合ではクロースと、相手キーマンへのマークが任されていた。
マドリーに支配される展開が続く中、GKレミロを筆頭に全員で守り抜く姿勢が印象的だった。久保もフル出場して0-0の引き分けに貢献し、強敵からの勝ち点1を積み重ねた。マドリーから完全移籍した久保だったが、ベルナベウへの帰還は、イマノル監督率いるソシエダ戦士としての強い印象を残した。
なおこの頃、ソシエダはチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得という目標が見え始めていた。試合後インタビューで久保は「選手皆がギリギリの状態、次の試合まで1週間空くので、体調を整える必要性がある」と述べている。
苦境の中で2試合連続MOMにも選ばれた
マドリーから貴重な勝ち点1を獲得したソシエダだったが、続くバジャドリー戦では黒星を喫する。チームの半数が怪我人という状態で、右サイドバックには急遽攻撃的なバレネチェアが起用されるなどベンチ事情は逼迫していた。前半戦でチームを牽引したブライスの不調も顕著で、勢いに陰りが見え始めていた。
そんなチーム状況の中、一人覇気を見せたのが久保だった。
敗戦にも関わらずMOMに選出された久保に“これ以上”を期待するのは酷だと分かりながらも――ソシエダが勝つには、久保がゴールするしかないと思わざるを得ない状況だった。
そんな期待に応えるかのように、第21節エスパニョール戦で久保は鮮烈なボレーシュートでゴールを奪った。このゴールのほかにも、鋭いクロスから相手のオウンゴールを誘発するなど、2得点に絡む活躍で2-3の勝利に貢献、2試合続けてのMOM選出となり、終了直後の固く拳を握り込んだガッツポーズが印象的だった。
復調の兆しにも思えたが――ソシエダはセルタ、バレンシア、カディス、マジョルカと中位から下位に位置する相手に勝ち切れなかった。そしてELラウンド16ローマ戦でも1stレグに敗戦し、2ndでも引き分けてEL敗退が決まった。それでもカディス戦では、待望のシルバが復帰すると久保との小気味良いコンビネーションに一縷の希望を見た。