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「偏差値70超え」阪神・大竹耕太郎の“超エリートだけど泣き虫だった”話…中高時代の同級生が証言「体育の授業なのに…あいつはガチでした」
posted2023/06/21 11:02
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
KYODO
昨年12月の現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎、27歳。ソフトバンク「苦悩の5年間」を経て、なぜ覚醒したのか? 「熊本の超進学校出身」「甲子園で大阪桐蔭と対戦」「プロ入り後の挫折」……。高校時代の同級生・恩師の証言から、大竹の素顔と軌跡を探った。〈全3回の#1/#2、#3へ〉
◆◆◆
まだ熱戦の途中だった。それでも大竹耕太郎は泣いた。
5月27日の甲子園。この試合まで開幕5連勝とノリに乗っていた左腕は初体験となる“伝統の一戦”のマウンドでも臆することなく巨人打線に立ち向かい、スコアボードに初回から「0」を7つ並べた。この時点での防御率は驚異の0.40だった。
だが味方も無得点。
迎えた7回裏2死二塁で打順が大竹に回ったが、先制点を取るべく阪神ベンチが動く。代打を送られて交代。その後、一、二塁に。ここで1番打者の近本光司がフルカウントからセンター前へはじき返すタイムリーヒットを放ち、ついに試合の均衡が破れた。
ダグアウトの最前列で戦況を見つめていた大竹は、打球が外野に抜けたのがわかると声を上げて頭上で拍手。さらにグラウンドに飛び出して「よっしゃ!」と叫び左手を振り下ろしてポーズを決めた。
「昔から涙もろいヤツでした」
歓喜に沸く阪神ナイン。超満員のスタンドに『六甲おろし』の大合唱が轟く。大竹は後列のベンチに引っ込みふぅっと腰を下ろす。その時、両目も頬も、涙で光っていた。見られまいと必死にタオルで拭う泣き顔が中継画面に大きく映し出された。
「昔から泣き虫というか、涙もろいヤツでした。だから甲子園球場のベンチで泣いてるのを見たときも、あぁ大竹だなって。まったく驚きませんでした」