大竹が生まれ育った熊本は、昨年の“村神様”フィーバーに続きまたもや出現した地元スターの活躍に沸き立っている。声の主である林竜也は、大竹とは中学と高校の同級生で同じ野球部に所属。現在は小学校の教員をしている。この日の試合もいつものようにテレビから応援していた。「変わらないな」。それが嬉しかった。

「負けて泣くというのはよくある話ですが、大竹は中学の頃から嬉し泣きすることもありました。クールに見えますけど、じつは感情が豊かなんですよね。といっても野球の時だけ。映画とかドラマで泣いているのは見たことがない。それだけグラウンドでは入り込んでいたんでしょうね」

林竜也さん。大竹耕太郎と中高時代の同級生で、現在は小学校の教員 ©Number Web

「学年20位以内」「運動神経バツグン」

　大竹は幼少期、スポーツ好きだった父の影響で野球に限らず、サッカー、テニス、水泳、卓球、ゴルフなども経験。その中でも、小学校低学年のときに家族で福岡へ初めてのプロ野球観戦に出かけ、当時ダイエーホークスの和田毅がドームで投げる姿を目の当たりにして野球の虜になっていった。

　小学校6年生・大竹の姿を、林はよく憶えている。

「いまでは細身で技巧派というイメージですよね。だけど当時は少しぽっちゃりしていて、球が速い剛腕ピッチャー。僕は隣の小学校でしたけど、その名が耳に届くほど地元では有名でした」

　熊本市立託麻中学校で同窓になるとすぐに仲良くなった。

「それくらいの年頃だと、運動神経がよくて体も一回り大きければ周りから一目置かれるので、ガキ大将みたいになりがちじゃないですか。だけど大竹は一切そんなことなかった。とにかくいいヤツ。それでいて勉強もできる。託麻中は8クラスあったので300人近くいましたが、常に学年の上位20番以内にいたと思いますよ。文系科目が得意なイメージ。そんなヤツだからモテた。当時、学年で一番かわいい子とイイ感じだったという噂も聞いていました（笑）」

強豪から誘いも…なぜ超進学校に？

　中学3年時には県の中体連で優勝して全国大会に出場。下級生からエースとして活躍していた大竹のもとには当然のように誘いの声がいくつもあった。

　中学野球を引退後の大竹について、プロ野球取材中に聞いたひとつの伝説がある。「1日10時間の猛勉強をしていた」。その逸話について林は首を傾げた。

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