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久保建英PK獲得+シルバに絶妙アシストもドローに落胆 だが翌朝「クボ表紙の新聞」を持った地元のおじさんが…カメラマンは見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/05/17 11:02
PK獲得にアシスト。久保建英は2得点に絡んだものの、ソシエダは目まぐるしく変わる天候の中、2-2のドローに終わった
チャンスを作ったがドローに久保は肩を落とし…
試合後、総評を聞かれた久保は、「コミュニケーション不足だった」と答えている。
前線の選手が、好調なぶんだけ積極的に前に出ていったことにより、守備ラインとの距離感が悪くなってしまっていた。
1失点目直後のゲーム中断を利用して、監督、選手が話し合う姿や、ピッチ上で話し合う久保とメリノの姿を撮影していたが、もっと試合中に修正することができたはずだったということだろう。
後半開始と共に、また強く雨がピッチと選手を打ち始めた。写真の中にも一際多く雨粒が写り込み始めていた。
なんとか1点が欲しいソシエダは、久保のサイドから攻撃を図る機会が多くなった。より自身の力でサイドをえぐりボックス内へ久保が侵入していくが、ゴールにまでは結びつかない。
また57分、自陣より単独ボールを持ち運んだ久保は、追い縋るダビド・ロペスをかわすと、ボックス内へ侵入するシルバの足元へミドルレンジのパスを通す。シルバも見事なコントロールからシュートを放ったが、GKに弾かれてしまった。直後、ジローナ監督は、久保に対し遅れを取り始めたハビを交代させている。
61分には、久保自身が切り込んで放った低弾道のシュートがGKの手を弾いたが、ゴールラインギリギリで防がれてしまった。
その後も何度となく久保のもとからチャンスが創出されていく。ボックス内のオヤルサバルにパスを届ける、久保のCKからのシュートがバーを叩く。それでも最後までソシエダはゴールを奪い切ることができなかった。
ホイッスルが鳴ると、久保は大きく肩を落とした。
雨は止み、強い日差しによって影を強く縫い付けられているかのように、しばらく動くことはできなかった。
夢のCL出場に向け、なんとか勝ち切りたい、そして勝つことができた試合だっただけに――。
翌朝、おじさんが久保表紙の新聞を持って…
翌早朝、ホテルの外はまた豪雨だった。チェックアウトをしていると、おじいさんが近づき、笑顔で手に持つ新聞の表紙をこちらに向けてきた。
指差したのは表紙に写る久保の顔だった。ホテルに刷り立ての新聞を届けにきた方だったのだが、日本人だと思って、写真を知らせてくれたのだ。
“Buen Partido――いい試合”だったと。
次節は、リーガ優勝を決めたバルサとカンプノウでの対決となる。22-23シーズンも残すは4節となった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。