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「久保建英がスペイン紙の一面に!」子供サポ「タケが決めるよ」予言通りマドリーを圧倒“ソシエダの熱狂”は翌日も…カメラマンは見た
posted2023/05/06 11:04
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
熱狂が爆発する直前、一瞬の静寂が訪れたようにすら感じられた。
欧州王者レアル・マドリーのセンターバック、ブラジル代表でもあるエデル・ミリタンがレアル・ソシエダのアレクサンダー・セルロートのプレスを回避しようとした際、ピッチに足を滑らせた。咄嗟に選択したバックパスがGKティボー・クルトワの守備範囲からずれたことは明らかだった。
ボールの行方を、この日スタジアムに詰めかけていた3万5000人超が固唾を飲んで見つめていた。1秒にも満たなかったが、ずいぶん長く転がっているようにも感じられた。
ミリタンの足元から放たれたそのボールの行き先に猛然と詰めかける青と白のユニホームを3万5000超の視線が捉えた時、スタジアムはすでに熱狂に包まれた。
その青と白のユニホーム、久保建英がボールを蹴り込むより早く、スタジアムはゴールを確信していた――。
国王杯決勝、CLを控えるマドリーに対して
5月2日リーガ33節、レアル・ソシエダ対レアル・マドリー戦の撮影に向かった。
マドリーは言わずと知れた現欧州王者である。ソシエダにとって、総合力では格上の相手となるが、幾分、日程面でメリットはあった。ホームチームは前節から中3日、アウェイチームは中2日でこの試合を迎えている。
一方の欧州王者は、今シーズンもCLを勝ち進み、1週間後には準決勝マンチェスター・シティ戦が控える。さらにこの週末には、国王杯決勝も待っている。
出場停止、怪我、ローテーションの結果、この日のマドリーの先発メンバーの中に、ベンゼマ、ビニシウス、モドリッチら主力級選手の姿はなかった。
ソシエダにとっても、週2試合の過密日程が続いているが――前節、久保がダメ押しとなる2得点目を奪って勝利したオサスナ戦では――その久保、オヤルサバル、ブライス・メンデスなどを温存し、途中起用した采配もあった。
少年サポーターいわく「Takeが決めるよ!」
いつものように、観客席には「TAKE」と書かれたユニを纏うサポーターの姿が目についた。最前列で選手のアップを見つめる少年サポーターは、「2-1でソシエダの勝利だよ。2点ともTakeが決めるよ!」と頼もしい声を聞かせてくれた。
両チーム入場時には、久保を間近で見つめるエスコートキッズの顔にスターを見つめる羨望の眼差しが感じられた。またゴールデンウィークと重なったこともあり、多くの日本人ファンの姿もあった。