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「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」WBC栗山英樹監督が叫んだ日 世界一のチーム作りの源にあった三冠馬との絆秘話「ディープインパクトが大谷翔平ならオルフェは…」

posted2023/04/29 17:00

 
「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」WBC栗山英樹監督が叫んだ日 世界一のチーム作りの源にあった三冠馬との絆秘話「ディープインパクトが大谷翔平ならオルフェは…」<Number Web> photograph by AFLO

WBCで日本代表を頂点へと導いた栗山監督

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木下大輔(日刊スポーツ)

木下大輔(日刊スポーツ)Daisuke Kinoshita

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 天皇賞(春)は4月30日、京都競馬場で行われる。2019年にこの世を去った無敗の三冠馬・ディープインパクトが驚異的なレコードタイム「3分13秒4」でこのレースを制したのは17年前の2006年のこと。実はこの世界的な名馬は、3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で頂点にたった侍ジャパンの指揮官・栗山英樹監督と熱すぎる交流があった。栗山監督下の日本ハム番記者が、名馬との秘話を振り返る。

「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」

 2016年1月12日、午後2時16分。日本ハムの指揮官として5年目を迎えていた栗山監督に、至極の瞬間が訪れた。種牡馬となっていた伝説の名馬・ディープインパクトが目の前にやってきたのだ。居ても立ってもいられない。一番聞きたかったことをシンプルな言葉で投げかけたのが、後の世界一監督と世界的名馬のファーストコンタクトだ。日中も氷点下だった真冬日に熱気を帯びたピュアな魂の叫びが、北海道安平町にある社台スタリオンステーションに響いた。

 目をキラキラと輝かせて、栗山監督がディープの顔を見上げる。そして、牧場関係者に尋ねた。

「触っていいですか?」

 許可を得て、恐る恐るディープの左肩付近へ右手を伸ばした。馬体に触れると優しい手つきでなでた。ディープも左横に振り向いて栗山監督の目を見つめた。

 もう、ここからは両者だけの世界だ。もちろん、ディープが言葉を発することはない。だがその空間にはまるで会話を交わしているかのような不思議な空気感が漂っていた。栗山監督のシンプルかつ勝負の世界に共通する真理への問いに答えているような……気がした。

【次ページ】 栗山監督にとってディープは「大先生」

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