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「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」WBC栗山英樹監督が叫んだ日 世界一のチーム作りの源にあった三冠馬との絆秘話「ディープインパクトが大谷翔平ならオルフェは…」
text by
木下大輔(日刊スポーツ)Daisuke Kinoshita
photograph byAFLO
posted2023/04/29 17:00
WBCで日本代表を頂点へと導いた栗山監督
ディープとの対面後は、その素顔について牧場関係者を次々と質問攻めにした。
「普段も穏やかな性格をしているんですか?」
「ディープが一番うれしそうな時は?」
「やっぱり走るのが好きなんですか?」
一つ一つの答えに、真剣に頷く指揮官。“取材”を重ねていくうちに、「勝ちきること」の極意を掘り当てたようだ。ディープは現役時代から気性が穏やかで、余計なことは一切しないという。レースへ向けて無駄な体力を消耗せず、真面目に調教に臨んでいたという。そして、デビュー前から牧場を走り回っていたことも聞いた。
「ディープは(デビュー前から)真面目で品が良かったと。そういう選手を育てないと安定して勝てない」
「誰よりも走ることが好きだったんだと思う。やっぱり野球も誰よりも好きでやらないと勝てないんだ」
ディープは大谷翔平。オルフェーヴルは…
競馬にも野球にも共通する強さの秘訣を再確認した。ちなみに、栗山監督との対面中にムシャムシャと芝生を食べ始めた一場面からも、万事共通の大物感を感じ取っていた。
「能力のある人は、やっぱり自分のペースを守れる」
その姿に、自然と重なったのは、当時プロ4年目で「二刀流」を本格化させていた大谷翔平投手だ。この時、栗山監督は史上7頭目のクラシック三冠馬オルフェーヴルとも対面している。生まれ持ってのスター性と堂々とした佇まいのディープ、やんちゃで個性あふれる走りで名馬となったオルフェ。この2頭を引き合いに、後に牧場関係者は「ディープが大谷投手だとすると、オルフェは中田(翔)内野手だと栗山監督が来場した時に言っていました」と明かしている。