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「ディープ、勝ち方を教えてくれ!」WBC栗山英樹監督が叫んだ日 世界一のチーム作りの源にあった三冠馬との絆秘話「ディープインパクトが大谷翔平ならオルフェは…」
text by
木下大輔(日刊スポーツ)Daisuke Kinoshita
photograph byAFLO
posted2023/04/29 17:00
WBCで日本代表を頂点へと導いた栗山監督
「すごい……ディープ、ありがとう。勝つよ。頑張るからね、オレ」
やはり栗山監督はディープから金言を授かっていた。感謝を伝えて神秘的な約10分間の初対面が終わった。
栗山監督にとってディープは「大先生」
当時、栗山監督が率いる日本ハムは4年ぶりのリーグ制覇と10年ぶりの日本一を目指し新シーズンのスタートを切っていた。就任1年目の12年にリーグ優勝後は13年6位、14年3位、15年2位。最下位から徐々に成績を盛り返し、チームの機が熟してもいい16年は、必勝を期すシーズン。どうしても、勝つことの極意に触れたかった。
「勝ちきることって、どういうことなんだろう、と。たまたま近くに世界一の馬がいてくれた」
社台スタリオンステーションは日本競馬会の至宝サンデーサイレンスやトウカイテイオー、スペシャルウィークなど、数々の名種牡馬がけい養されてきた。そんな勝利の遺伝子を伝承する場所は、栗山監督が今も生活拠点を置く栗山町から車で約1時間の距離にある。そんな"地の利”も生かして、栗山監督はディープとのアポ取りに成功。圧倒的な実力で勝利を重ねた強さに憧れていた名馬と念願かなって対面を果たし、監督就任前に務めていたスポーツキャスター時代の腕をふるうかのように“取材”し始めた。
「ディープは馬かもしれないけど、我々にとっては大先生だから」
人馬の垣根など、最初から考えないのが栗山流だ。スポーツの世界に身を置く同士、見て聞いて感じたことすべてが、野球にも落とし込める学びにつながると信じて足を運んだ。