そして迎えた決勝戦。

「ゲームプランとして、最初から投手はショートで繋ぐっていうのがあったんですよ。だからアメリカ打線への対策も1人で2打席も3打席も対戦することが、ほぼないというところが、まあスタートなんです。例えばこれが2打席、3打席、同じピッチャーと対戦しなければいけないとなると、いろんな形があるんですけど。例えば今永（昇太投手）が投げて、戸郷（翔征投手）が投げてというのがある程度あったんで、だから打順の回りで、じゃあこういう風に対戦しそうだなと考えながら、例えば戸郷だったらとか、今永だったらとかいう考え方で事前に対策は考えていました」

一度も受けたことがなかった大谷の球

　先発の今永から戸郷へ。そしてそこから高橋宏斗、伊藤大海、大勢と各投手を小刻みに繋ぐなかで、中村はうまく各投手の持ち味を生かしてリードしていった。8回からはこの日の朝に登板が可能となったダルビッシュ有投手がマウンドに上がり、6人の継投が完成する。

決勝戦で大谷と初めてバッテリーを組んだ中村　©︎Naoya Sanuki

　そしてここまでの6投手を中村は少なくともブルペンでは何度か受けたことがあった。しかし最後にマウンドに上がる大谷だけは……。

「今回、本当に申し訳なかったのが（大谷）翔平の合流がギリギリだったんで、甲斐以外のキャッチャーが受ける機会を作れなかったことですよね」

　村田コーチが振り返るように、大谷がブルペンで投球練習をしたのは来日してから開幕までにわずか2回しかなかった。

「ピッチング練習はだいたい先発の2日前か1日前にするんです。だから初戦の中国戦の前には当然、甲斐に捕らせましたし、準々決勝で先発するときも甲斐がスタートだったから捕らせた」

声を出しながら力投する大谷　©︎Naoya Sanuki

　当初は所属するロサンゼルス・エンゼルスから米国に渡った準決勝、決勝では大谷は投げさせないで欲しいという要望があり、大谷は打者に専念してマウンドに立つ予定がなかったという事情もあった。

「なので準々決勝以降のアメリカに行ってからもキャッチャーが受ける機会がなかったんですよ。翔平に関してはもう時間がないのと、ブルペンの回数が決まっていたというのがあった」

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