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八村塁は“大舞台”に強い? NBAプレーオフ“歴史的な活躍”の裏にレブロンの励まし「ルイがどれだけ大事な存在なのかを伝えている」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2023/04/19 11:00
プレーオフ初戦では29得点をあげる活躍を見せた八村塁。レブロン・ジェームズ(左)の助言も成長を後押ししている
レイカーズに入ってからの2カ月半は、八村にとって決してすべてが順調というわけではなかった。
レイカーズでは八村加入後にさらに戦力の入れ替えがあり、主力の故障も続いた。選手が入れ替わる中でコーチ陣は色々なラインナップを試し、ローテーションがなかなか定まらなかった。加入直後に一度スターターに抜擢された八村も、少しして、また控えに戻った。多いときは27分程度の出場時間があったが、少ないときは11分余で終わることもあった。思うようなプレーができず、悩み、苦しんだ時期もあった。
出場時間が20分台の試合が続いた後、3月26日の試合ではNBAに入ってから初めて、故障などの理由がないDNP-CD(コーチ判断での不出場)を食らってしまった。この試合は、ジェームズが約1カ月の故障から復帰した日で、ふだんスターターのジェームズが控えから出場するという変則ゲームだったこともローテーションが狂う一因となった。
ダービン・ハムHCは試合後に、「うちにはいい選手が多いから、何が悪いということでなくても、ローテーションを外れる選手が出てしまう」と説明していたが、後になって、この試合で八村を起用しなかったのは自分のミスだったと認めている。
レブロン「彼が何をできるかわかっている」
このDNP-CDが八村にとって転機となった。次の試合から再び試合に戻った八村は、3試合後のヒューストン・ロケッツ戦では約25分の出場で、20点、12リバウンド、3ブロックと攻守に活躍。試合後にジェームズが「きょうのゲームボールはルイのものだ」と言ったほどだった。この時、ジェームズはこんなことも言っていた。
「彼はリズムプレイヤーだ。控えから長い時間出るとわかっていればチームにとって大きな戦力となる。この数試合、コーチ・ハムとコーチ陣はチームにあったローテーションをうまく見つけたと思う。ルイはベンチから最初に出てくる選手で、僕らもそれを待っている。僕らは彼が何をできるかわかっているからね」
ジェームズはチームのリーダーとして、チームメイトたちの力を引き出すにはどうしたらいいかを常に考えており、またハムHCとはチームの戦術などについて頻繁にコミュニケーションを取っている。八村はまとまった時間を与えたほうが活躍する選手だというジェームズの提言をハムHCが取り入れたことは想像に難くない。