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JリーグPRESSBACK NUMBER
「11月6日でした。いまでも覚えています」衝撃的だった“契約満了のお知らせ”…湘南MF小野瀬康介が“事実上の戦力外”から再起するまで
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph bySHONAN BELLMARE
posted2023/04/20 11:14
昨季かぎりでガンバ大阪を“契約満了”となった小野瀬康介。新天地の湘南ベルマーレで躍動するなか、率直な思いをインタビューで明かした
山口智監督は「全然絡んで大丈夫な人」
──クラブの公式動画を観ると、キャンプ中から馴染んでいましたね。
「そうですか、そうだと良かったのですが(苦笑)。サッカーはコミュニケーションが大事で、自分のことを知ってもらわないといけない。若い頃は自分からあまり話しかけたりしなかったんですけど、いまは自分が活躍するためにも自分を知ってもらったほうがいいと思っていて。他愛もない会話をしながら、『自分はこういう人間でこういう選手で、こういうことができるよ』ということを知ってもらうようにしています。この選手は絡んでいけるかどうか、というのを嗅ぎ分けるのは得意なので(笑)」
──移籍で磨かれた観察眼でしょうか(笑)。
「言われてみれば、そういう感覚が自然と身についていったのかもしれませんね。まあでも、このクラブはアットホームな雰囲気があって、みんなが声をかけてくれて、すごく温かく迎えてくれたので、かなりスムーズに入れました。チームメイトとスタッフのおかげです」
──ベルマーレの選手としてのお披露目となった1月の新体制発表会では、「チームにどのようなものを還元したいか」と聞かれて、「智さんの扱い方」と答えました。あのひと言で、ファン・サポーターの心もグッとつかみましたね。
「あれぐらい言ってもいい人なんだよ、ということを僕から伝えられたらと思いまして(笑)。全然絡んで大丈夫なんだよ、と。実際にそうするかどうかは、その選手次第ですけどね」
「いまでも覚えています」衝撃的だった“戦力外通告”
──それにしても、昨オフにガンバを契約満了になったことは驚きました。
「そう言っていただくことが多いんですけれど、僕自身もびっくりしたひとりです」
──これまでの経歴を見ると、契約満了はもちろん初めてですよね?
「はい、初めてでした。去年のシーズンが終わって、数日後に契約満了のリリースが出た選手がいて、僕も同じタイミングで出してもらうこともできたのですが、満了は初めてだったので……。恥ずかしいことではないですけど、世間に知られるのはどうなのかなと思って、『ちょっと待ってほしい』とガンバにお願いをしました。でも、移籍先が決まったことが先に発表されると、自分からガンバを出たように見えるかもしれないので、契約満了のリリースは11月16日に出してもらいました。ただ、クラブから言われたのは11月6日でした。いまでも覚えています」
──16日にリリースが出て、25日にはベルマーレへの完全移籍が発表されました。かなり早い印象ですが、オファーが届いてすぐに決めたということだったのでしょうか。
「ベルマーレが興味を持ってくれていることは、去年のシーズン中から代理人を通して聞いていました。そのときはガンバの選手でしたし、チームがJ1残留争いをしていたので、シーズンが終わるまでは試合に集中しました。で、全日程が終了したあとに、正式にオファーをいただきました」