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私は競泳日本選手権で“ゾーン的感覚”を味わった…「ラスト25mで我に返って“キツい!”って」「今見てもアホみたいに突っ込んでるなと」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/09 11:03
リオ五輪選考会で優勝し、笑みを浮かべる寺村美穂さん(右)
「2018年には日本で開催されたパンパシに出場して、ベストに近いタイムが出たんです。でもそれ以降から2019年頃まで、うまくいかない期間があったんです。学生から社会人に立場が変わったことも1つの理由としてあります。学生の頃と比べて社会人になってからは水泳だけに集中できる環境を作ってもらった。だから“絶対に代表に入らないと”、“結果を出すのが当たり前だよね”と誰かから言われたわけではないのに……責任を自分で勝手に負いすぎていたのかもしれません。
自分が好きでやっている水泳というよりも、義務的なものを感じてしまったんです。そこからタイムが伸びず、さらに生理などで体調面も良くなく……そこで自分と向き合って、メンタル的には吹っ切れたんですよね」
東京五輪の1年延期は競技的にプラスだったのかも
――東京五輪と言えば、触れないわけにいかないのがコロナ禍です。感染拡大によって2020年3月に「1年延期」が決まったわけですが、その時の率直な心持ちはどうだったのでしょうか。
「実は……言い方は難しいんですが、私にとっては競技を考えるとプラスだったのかもしれない、と感じているんです」
――というと?
<#3につづく>