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「もし覚悟が決まったら…」今井月23歳が悩んだ“パリ五輪落選からの2週間”…打ち明けた“進路”への思い「最後は自分が決めることなので」
posted2024/07/22 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Tsutomu Kishimoto/PICSPORT
2024年3月17日、競泳パリ五輪の代表選考会が開幕した。いつもなら4月の日本選手権を選考会と兼ねていたが、強化スケジュールを鑑み、3月に選考会として実施されることになっていた。
今井月は開幕までの日々を振り返って言う。
「最後に不安になることはゼロにした状態で行きたかったので、半年間、1日も後悔しないくらいちゃんとやったつもりです。もちろん当日、ああいうレース展開にしておけばよかったとかはあるんですけれど、過程においては順調に過ごせたかなと思います」
電光掲示板を見て、宙を見上げた
エントリーは100m、200mの平泳ぎ2種目。最初の種目100mを1分7秒40の5位で終えて、200mに臨む。
「100mは7秒台前半というのも久しぶりだったので、自分的には200mにいいイメージでつながるレースだったかなと思いました」
200mは予選4位、準決勝は鈴木聡美、渡部香生子に次ぐ3位で決勝に進む。
「決勝を迎える前は、やはり(パリ五輪に)行けるか行けないか、あれだけ準備しても不安な部分はもちろんありましたし、行けなかったらどうしようとか思って……。招集所では緊張するんですけど、入場すると緊張とかあまり感じないというか、自分の世界に入るので、スタート台に立ったときは『あと2分半後に決まるのか』という感じでしたね」
決勝のスタートが切られる。
およそ2分半後。振り返り、電光掲示板に目を向ける。今井は宙を見上げた。
「3人とも派遣は切るかなと思っていたので順位を最初に見ました。3番で行けないと分かって、なかなか動けなかったですね。体もきつかったし精神的にも動けなかったです」
2分23秒69。3位だった。オリンピックの代表には届かなかった。