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ヤクルトファンが驚いた「星に何が起きたの?」 あの“野村再生工場”を思い出す…高津臣吾監督が明かした危機感「問題は投手陣。頭が痛い」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/04 17:02
開幕3連勝と好スタートのヤクルト。しかし高津臣吾監督は浦添キャンプで“危機感”を明かしていた
火曜 サイスニード
水曜 高橋奎二
木曜 石川雅規
どうやら5日水曜日は当初、高梨裕稔の先発が予想されていたが、そのスポットにWBCから帰国後、二軍戦で登板した高橋奎二が入った。高津監督は「高橋は一度、ローテーションを飛ばすかもしれませんね」と2月の段階で話していたが、2カード目に間に合ったのは好材料だ。
この6人のなかで、確実に中6日で投げられるのは小川、ピーターズ、サイスニードの3人だろう。
ゆとり枠として考えられるのは石川、高橋だが、ルーキーの吉村の扱いに注目したい。社会人出身だけに中6日で回していくことも考えられるが、高梨だけでなく、サイドスローの小澤怜史も控えており、各選手の状態を見極めながら先発を決めていくことになりそうだ。
ゆとりローテーションは競争を促し、若手にとっては登板の機会が増えるクリエイティブな手法だと思う。
ファンが驚いた「星になにが起きたのか」
そしてマクガフの抜けた穴がどうなるのか、気になる開幕カードでは、新たなブルペンの姿も明らかになった。
新クローザーは田口麗斗だった。キャンプインの前から、高津監督の構想のひとつに「田口クローザー案」はあった。
「田口はコントロールを間違わないんです。制球が丁寧。それに、気持ちが強いでしょ。クローザーを務めるうえではメンタルも重要な要素になるので、田口はクローザー候補のひとりです」
去年5月24日のファイターズ戦で無死満塁の場面で登板し、「田口の20球」と呼ばれる火消しに成功した印象も強く残っているのかもしれない。
そして驚きの「再生組」が明治大学出身、プロ入り7年目の星知弥だった。
開幕戦では4対0とセーブが付かない場面で9回に登板。150キロ台のストレートを連発、相手を圧倒する「ドミネート」という言葉がふさわしい投げっぷりで、「一体全体、星になにが起きたのか」とファンを驚かせた。
「ヒーローインタビューは初めてです」
第3戦も2対2の同点で迎えた8回表にマウンドに上がり(この日、清水昇は3連投を避けるための休養日だった)、二死からヒット、そしてマクブルーム相手には慎重な配球で四球を与え、二死一・二塁のピンチ。しかし5番の西川龍馬の強いゴロを右脚で“トラップ”し、落ちついて一塁に送球して事なきを得た。