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WBCで“大谷を救った男”伊藤大海はなぜピンチに強い? 語っていた「本当に孤独なのはバッター」「ダルさんみたいになりたくて、髪の毛を…」
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byAFLO
posted2023/04/01 11:02
東京五輪に続けて、ピンチに動じない投球が話題となった伊藤大海。プレッシャーのかかる場面でなぜ堂々とした投球ができるのか、本人の発言を振り返ると…
土日にアピールするための平日の練習
中学時代の「函館東シニア」になると、“考える野球”はさらに進化する。
「函館東シニアは土日しか練習がないので、監督にアピールできる機会が限られている。ですからぼくは次の練習でなにをアピールするかを考えて、平日の練習内容を決めていました。例えばぼくはパワーがなかったので、まずランニングで絶対にいちばんになろうと考えた。そのときはランニングに励む日を決めて、他の日は体幹トレーニングをすることにする。そうやって効率よく、無駄なく目的に到達することを考えるようになったんです」
周りに流されることなく、伊藤は自ら選んで道を切り拓いてきた。そんな彼にとって、独自のスタイルを貫くダルビッシュは、憧れというだけではなく、励みになる存在だったに違いない。レジェンドとともに過ごしたWBCの日々は、意義深い時間となったはずだ。
練習量は少ない。でも効率の良さはいちばん
最後に、このときのインタビューで伊藤は練習の取り組み方について述べているので紹介したい。
「ぼくはドラフトで選ばれた全球団の同期の中で、いちばん練習量が少ないと思う。でも、効率の良さはいちばんだったと自負しています。ぼくは大学時代、野球をやりながら趣味の釣りも楽しんで、同時にアルバイトも結構やっていました。野球部の学生ってふつう、釣りやアルバイトをする時間なんてないじゃないですか。でも、ぼくはそれをやっていた。明確な目標を立て、そのために日々強い意思を持って練習をする。漠然と野球をしないために、だれよりも考えて練習に臨んでいました。練習は自分で納得してやらないと絶対に身につかないと思うので、自分が納得して取り組むためには考えなきゃいけない。やらされる練習で疲れるくらいなら、寝ているほうが上手くなると思いますからね」
たくさん休んで釣りをして金メダリストになった若者は、1年半後、ふたたび世界の頂に立った。
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