オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦のスピンと同時に内村航平も旋回…地元・宮城でのアイスショーに「つなぐ人」羽生が込めた“被災地”への思い 「あれから12年…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2023/03/12 11:12
座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」で共演を果たした内村航平と羽生結弦。公演は12日まで
「結果もオリンピック2連覇ですし、競技をきわめたいという者同士で、まだきわめきってないと思っていると思います。だから、彼もまだ道半ばなんですけど、やっぱりお互いがお互いのことをリスペクトしているので、呼吸も合いやすいのかなっていうのを感じます」
内村は後半でもゆか運動を披露し、フィナーレにはスケート靴を履いて登場。宮原とビオレッタに手をひかれ、周回に加わり客席に手を振る光景があった。スケーターたちと退場するときの笑顔は、公演を通じて得たことの大きさを示しているようだった。
製氷作業のための休憩を挟んだ後半は、「パンデミック中、世界を明るい笑顔にした曲」、BTSの『Dynamite』でスタートを切る。シェイリーン・ボーン、鈴木、無良、本郷に加え、羽生が映像で参加、切れのある踊りを披露し、場内を沸かせた。
満天の星は希望の光になりました
そうした特別なパートも観られた公演は、ある1つの軸が貫かれている。
この日は3月11日の前日、3月10日。2011年3月11日から12年が経とうとしていた。
あの日、羽生は宮城県仙台市のアイスリンク仙台にいて震災に見舞われ、避難所に身を寄せることになった。そのとき、見上げた空にあったのは「満天の星」だった。
「notte stellataは『星降る夜』という意味です。満天の星は希望の光になりました」
スケーターたちによる1つ1つのプログラムが輝く星になるように=希望になるように。伝えたかったのは「希望」だった。
3月11日という日に…
公演の後にはこう語っている。