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羽生結弦のスピンと同時に内村航平も旋回…地元・宮城でのアイスショーに「つなぐ人」羽生が込めた“被災地”への思い 「あれから12年…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2023/03/12 11:12
座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」で共演を果たした内村航平と羽生結弦。公演は12日まで
「3月11日という日に、毎年あれから気持ちを込めながら、祈りの気持ちを込めながら、感謝の気持ちも込めながら、悲しい気持ちも込めながら、人知れず滑ってはきていました。ただ、こうやって皆さんの前でこの感情とともに演技をするということ。そういう企画の中で演技をするのが初めてなので正直、すごく緊張はします。でもこの『notte stellata』というショーだからこそ伝えられる気持ちだったり、このショーだから見えるプログラムの新しい一面だったり気持ちだったりテーマだったり、そういったものもまた感じていただければと思っています」
「つなぐ人」、羽生結弦
この公演では、「つなぐ人」、羽生結弦という存在も感じさせた。
ショーの中では、スケーターそれぞれがテーマと思いを込めたプログラムを披露した。
例えばシェイリーンは「人生においては受け入れがたい、抗えない現実に遭遇することがある。でも愛があれば焼き尽くせる」と『ファイヤーダンス』を披露。映画制作にも携わるミュージシャンである夫のボーダン・トゥロックの演奏とともに、巧みな布使いを交えつつ、手の指先から足元までの繊細な動作とともに観る人を魅了した。
鈴木は、「月は人生を照らす存在」と、『月の光』を選択。柔らかな表情とともに包み込むような表現をみせた。
スケーターそれぞれに描く思い、メッセージはあっても貫かれていたのはこのショーのテーマだ。座長を務めた羽生がつないだスケーターたちの誠実な滑りと、共通するテーマがそこに込められていた。
プログラムたちが希望となるよう祈っています
フィナーレで羽生はマイクを握り、挨拶した。