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「ヨシダは評判通り」吉田正尚はボストンと日本の熱い期待に応えられる? 誠也離脱の侍ジャパンに心強い“グッドラック精神”と“静かな存在感”
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2023/03/03 17:08
メジャー1年目のキャンプで多くの収穫を得たレッドソックス吉田正尚(29歳)。WBCでいい流れを掴み、新シーズンに臨みたいと活躍を誓う
もちろん未知のことに挑み続けたわけだから、すべてが順風満帆だったというわけではない。
2月26日、タンパベイ・レイズとの初めてのオープン戦では初打席でいきなりあわや本塁打という二塁打を放ったが、一方、27日のミネソタ・ツインズ戦では3打数無安打2三振。変化球やメジャー独特の動くボールにタイミングが合わないシーンも目立った。まだ調整段階のオープン戦とはいえ、バットにボールを当てるコンタクト技術が喧伝された吉田としては不本意な結果だったに違いない。
「今日の先発投手は去年、マイアミ(・マーリンズで)10勝している。そこらへんのクラスの投手にどう対策していくかは自分自身の課題。こういう投手を打っていかないといけないというのは再確認できました」
昨季10勝を挙げ、今オフにツインズにトレードされたパブロ・ロペスに空振り三振を喫した27日、メジャーの投手レベルの平均的な高さを改めて実感したようだった。
“2球で見逃し三振”新ルールの洗礼も
その前日のゲームでは、新ルール「ピッチクロック」の洗礼も受けている。残り8秒の段階で投球に備えていなかったとして、吉田にストライクが宣告。その後、空振りと見逃しで2ストライクを取られ、“2球で見逃し三振”という間違いなく人生初めての結果も味わった。
「日本のルーティーンで入ると少し遅れる可能性が高い。アジャストしていかないと」と即座の修正を誓っていたが、球場内のほとんどの人間が気づかなかった新ルールの適用に戸惑った部分は否定できなかったろう。
もっとも、それらも含めたすべてを振り返ると、繰り返しになるが、WBC前の米国滞在は間違いなく吉田にとって価値ある日々だったと言い切れる。
特に最も期待される打撃面で、ライブBP(試合形式の打撃練習)、練習試合、オープン戦という実戦で多くの投手と対戦し、様々な球種を目にできたのは大きかった。今後、WBC、MLBシーズンでも初見の投手と立て続けに対戦するだろうことを考えればなおさらだ。