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「ヨシダは評判通り」吉田正尚はボストンと日本の熱い期待に応えられる? 誠也離脱の侍ジャパンに心強い“グッドラック精神”と“静かな存在感”
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2023/03/03 17:08
メジャー1年目のキャンプで多くの収穫を得たレッドソックス吉田正尚(29歳)。WBCでいい流れを掴み、新シーズンに臨みたいと活躍を誓う
「評判通り、ボール球は振らない打者だと感じた。彼はストライクゾーンを本当によく理解している。プレーする場所が違うが、やるのはベースボールという同じゲーム。これまで日本ですばらしいキャリアを積んできたのだから、同じことをここでもやればいい。素晴らしい選手だから、何の問題もないよ」
ライブBPで対戦したサイ・ヤング賞2度受賞の大ベテラン、コリー・クルーバーのそんな言葉に代表されるように、ここまでの吉田の評判は上々。小柄な身体の中にメジャーでもハイレベルなパンチ力を秘めたルーキーは、3月30日の開幕時には間違いなく中軸を任されることになるはずだ。
WBCとメジャー1年目は「分けて捉えている」
こうしてフロリダのフィールドで積み上げたすべてのものは、世界が舞台の重要なトーナメントにつながっていく。3月2日、帰国の途に就いた吉田は、まもなくWBCに向けて侍ジャパンに合流予定だ。大谷翔平、ダルビッシュ有、佐々木朗希、村上宗隆といった豪華メンバーが集った日本版“ドリームチーム”の一員として、これから世界の頂点を目指すことになる。
「今のところはちょっとWBCに気持ちを置いて、しっかりそこでベストを尽くす。それが終わったら、次はシーズンに向けてベストを尽くすっていうふうに今は分けて捉えています。(ただ、)WBCに持っていくのも、その次につながるプラスだという考えも持っています。難しいですし、分けてはいるんですけど、ポジティブに考えて、シーズンにもつながるという意識ではいます」
メジャーキャンプ開始直後、メジャー、WBCという“2つの頂き”を一緒に追うことの難しさについて尋ねた時の吉田のそんな丁寧な答えも印象深い。
実際にまだ調整段階とはいえ、前述通り、MLBキャンプでハイレベルの球筋、球威を体感してきたことは間違いなく侍ジャパンでのプレーにも好影響を及ぼすはずだ。それと同時に、これから緊張感に満ち溢れたWBCというフィールドで世界を相手に戦うことが、レッドソックスでの1年目にいい形でつながっていく可能性は高いのではないか。