3月1日の練習中、レッドソックスの中軸を打つパートナーであり、WBCではドミニカ共和国の主力としてライバルにもなるラファエル・デバース三塁手とも楽しそうに長い間、言葉を交わしていた。徐々にリラックスして英会話もできるようになった吉田は、同僚＆ライバルとも穏やかにエールを交換しあったのだという。

「（デバースは）同じWBCで戦いますし、そういう話もしました。お互い“グッドラック”、幸運を祈ると。“マイアミで会おうぜ”みたいな感じですね」

ドミニカ共和国代表としてWBCに出場するデバース（左）と談笑する吉田正尚　©︎Getty Images

　アメリカでプレーする選手らしく、このように良い意味で力の抜けた言葉や姿勢もおそらくはフロリダで得た収穫なのだろう。シカゴ・カブスの鈴木誠也が故障で日本代表を辞退するというショッキングな事件があった後でも、仲のいい鈴木を心底から思いやりつつ、必要以上の悲壮感や気負いは吉田にはない。もちろんすべてをかけて全力でプレーするが、同時に“グッド・ラック”の精神も忘れない。

　根っからの真摯な人柄に、アメリカのエッセンスをほどよく加えた吉田の静かな存在感は心強い。ボストンと日本の熱い期待を同時に背負う骨太のスラッガーは、心身ともに充実した状態でまずはWBCというビッグステージに臨もうとしている。

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