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WBC緊急招集の日は“内野で練習”も…牧原大成で「外野手不足は解決」なのか? 取材後の“ひと言”「笑えないです、大事な大会なので」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph bySankei Shimbun

posted2023/03/02 11:13

WBC緊急招集の日は“内野で練習”も…牧原大成で「外野手不足は解決」なのか? 取材後の“ひと言”「笑えないです、大事な大会なので」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

サプライズ人選と言っていい。ただ、野球ファンよりも当の本人が一番驚いているように見えた

「外野手の代替だけど、センターの守備ならば候補に挙がっていた選手たちもレベルが高いと思っています。自分が呼ばれたのは色んな所を守れるのが大きいから。今年は『センター一本』というつもりだったので、内野の練習は特守以外ではやっていなかったので(侍ジャパンに備えて)一応練習しておきました」

千賀&甲斐と同期…過去に“本音”も

 もともとは育成ドラフトでの入団。育成5位で指名されたのが牧原で、その前後の育成4位が千賀滉大、育成6位が甲斐拓也という“奇跡の育成世代”でプロ生活をスタートさせた。

 育成指名のしかも下位の3人がいずれも侍ジャパンに名を連ねた(千賀は2017年WBC)のは驚くばかりだが、かつての牧原は他の2人に比べて後れを取っていたことを気にしているように見えた。支配下登録を勝ちとったのは牧原もプロ2年目6月と決して遅くはなかったが、千賀の方が2カ月ほど早かった。

 あの頃、千賀が登録された直後の牧原は「おめでとうと声をかけたけど、なんか気まずいというか、会話がなくなりました」とモヤモヤした心境だったと本音を漏らしていた。

 だが、それも昔の話。同期・同学年で同じ境遇から這い上がった彼らの絆は徐々に強まっていった。2018年7月16日の西武戦、牧原はプロ初本塁打をマークした。この試合、牧原はいつも以上に気合を入れて臨んでいた。「先発が千賀でキャッチャーが拓也。3人一緒にスタメンで出るのは初めてだったので」とお立ち台で話していた。

 それからは3人で一緒にヒーローインタビューを受けたいと話すようになった。昨年9月25日のロッテ戦、千賀が6回無失点で勝利投手となり、甲斐は1号3ランで勝利の立役者になりお立ち台に呼ばれた。インタビューが終わり、記念撮影になるとこの日適時打を放っていた牧原がひょっこりグラウンドに現れた。3人が並び立つ写真はソフトバンクファンにも、彼らそれぞれの心にもしっかり刻まれた。

「侍ジャパンに行くことが決まって千賀にも連絡したんです。オレも出たかった、と言ってました」

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