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茶髪、へそピ、派手ネイル…“ギャルファー”金田久美子33歳「ゴルフつまんない。何なのこれ?」と思ってたのに20年以上も長続きした理由
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTaichi Chiba
posted2023/02/28 11:04
2022年10月に11年ぶりとなる復活優勝を果たした金田久美子。天才少女と騒がれたキンクミも今年8月に34歳になる
中学時代、当時ツアーの会長だった樋口久子からロッカールームで「ちょっと……」と声をかけられ、「あなた目の周り真っ黒よ!」などと化粧の濃さや身だしなみについて注意されたことは今でも覚えているという。さすがに「ヤバい」と感じて、翌日からは少しおとなしめにしたというのだが……。
結局、そうした悪目立ちするファッションもゴルフが好きでないがゆえの反発心の表れだったという。
「ゴルフしててもテンション上がらないから、自分の好きなものを着て、好きな格好をして、モチベーションを上げるためにやってました。ゴルフのファッションってダサかったじゃないですか」
ネイルもピアスも今ではツアーで当たり前になっている。かつての異端児は、ツアーの公式サイトで「女子プロ界のファッションリーダー」と紹介されるまでになった。時代は変わった。
金田のパンク的精神が時代の閉塞感を打ち破ったと見えなくもないが、そんな立派な心がけは特になかった。
「私が何かを変えてやる!みたいな、そんな優等生みたいな感じじゃない(笑)。ただ、自分のテンションを上げるため。ダサいのヤダ!みたいな感じでした」
33歳となった天才少女は、かつての奔放だった自分を振り返って言った。
「初めて同じ気持ちの人に出会えた」
楽しくない。好きじゃない。かといって、周りからの期待の大きさにやめることもできない。
ゴルフに対するそんな思いをツアーで唯一共有できた選手がいた。宮里とともに女子ゴルフ隆盛の礎を築いた横峯さくらだ。横峯も同じように父の影響で半ば強制的にゴルフを始め、その点において似たもの同士だった。
「さくらさんってすっごいダルそうにゴルフやってたじゃないですか? 私もそっち側だったから『ゴルフってつまんないよね。何なのこれ?』っていっつも言ってました。
みんなは楽しいとか好きでやってるって言うんだけど、さくらさんだけは本当にやりたくないっていつも言ってて。高校生ぐらいの時かな、初めて同じ気持ちの人に出会えたんです」