ラウンド中は気が滅入り、練習にも充実感はなく、歩くのも億劫で、日に当たるのさえ嫌い。そんな人にはとことん向いてなさそうなゴルフ。ただ、それを失ってもいいとは思えない。

「プライベートでどれだけ嫌なことがあっても、ゴルフをしている時間だけは忘れられるんですよ。仕事があると気持ちの整理ができる。一つのことに打ち込めている、仕事があるって幸せだなあって思います」

　これまで取り組んできた歳月が、人生の支えにもなる。繰り返しになるが、ゴルフが好きでなくてもだ。これまた不思議なねじれ現象だ。

「私にはこれしかない。ゴルフをやめちゃったら何も自分を褒められるところがないんです。何かを頑張っている人が好きだし、話をしていても楽しいし、尊敬できる。自分も何か頑張れること持っていたい。そこが一番大きいかもしれないです」

　もう一度問いかけてみる。

　ゴルフは……好きですか？

「ゴルフは好きじゃない。でもゴルフをしている自分は好きだと思います」

　今度は言い淀むことなく、きっぱりとした口調だった。

（#2へ続く）

#2に続く

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