ただ、25歳での引退を公言していた横峯は、その年齢を過ぎてもゴルフをやめず、結婚してから夫とともに米ツアーに挑戦。ライバルだった宮里の引退を見届け、子どもを出産した今も現役を続けている。

「さくらさんは旦那さんと出会えて、海外に行ってみて、やっとゴルフが楽しいって思えたって話を最近していたんです。それを聞いたときはなんか私も嬉しくなったんですよね」

　かくいう金田も、日々の練習を怠らずにキャリアのほとんどをレギュラーツアーで戦い続け、プロ3年目の初優勝から長い間勝利から見放されても諦めず、シードを失ってもめげずに這い上がって、昨年10月についに11年ぶりのツアー2勝目を挙げた。そして、15年目のシーズンを迎えようとしている。

　10代の頃はゴルフの陰口を叩いていた2人が同世代の誰よりも長くゴルフを続けているというねじれ現象。

2008年「大王製紙エリエールレディスオープン」で優勝した横峯さくら（左）とベストアマチュアに輝いた金田久美子　©︎JIJI PRESS　

「だから、楽しいからって長く続くわけじゃないのかもね。“楽しい”でやってたら、楽しくなくなった時にやめちゃうかもしれないじゃないですか。でも、昔から嫌でも続けてきたからどんな状況でも頑張れる。私もさくらさんもそうなのかもしれないです」

「“楽しい”じゃなくてもいいじゃんって」

　“好きなことで、生きていく”

　YouTubeのキャッチコピーにあったように、時代の趨勢はそっちにある。でも、金田の場合はもっと入り組んだ感情の中を生きてきた。

「なんかね、スポーツでも“楽しい”が今の時代の美学なんですよ。楽しいがキレイだし、美学だし。でも、そうじゃなくても別にいいんじゃないかなって思うから、私はそう言い続けています。昔よりはゴルフが好きだし、自分自身がゴルフを受け入れられることも多い。だから、楽しいって言えば話は早いんですけど、そうじゃない人がいてもいいじゃんって」

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