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元天才少女が苦しんだ“誹謗中傷”と“理想とのギャップ”…痛烈DM、コースで嘔吐の日々を乗り越えた33歳キンクミ涙の復活劇
posted2023/02/28 11:05
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Taichi Chiba
今年1月、日本女子プロゴルフ協会は、ツイッターの公式アカウントで昨季最も多くの「いいね」がつけられた投稿を発表した。それは昨年10月に金田久美子がツアー史上最長のブランク優勝を決めたときのものだった。
金田はそれを知って驚いたという。
「私の近くにいた人は応援してくれてましたけど、世の中がこんなに祝福モードになるとは思ってませんでした」
彼女が周囲からの好意的な反応を想定できていなかったのにはワケがあった。
「練習してないくせに」インスタに届くDM
約17万人のフォロワーがいる金田のインスタグラムでは、ゴルファーとしての姿だけでなく、愛犬との旅の様子や友達と出かけたUSJなど日常のキラキラした一面を見せている。
ところが、キラキラしてみせればみせるほど、見ず知らずの人間からのネチネチとした感情が投げ込まれてくる。
『練習してないくせに』
『見た目ばっか気にしてるからゴルフもダメに決まってるよ』
『楽しくしてんのムカつく』
金田は自分のことをベビーフェイスだとは思っていない。世間の求める女子ゴルファー像やアスリート像とはズレているだろうことも理解している。当たり前のことだが、だからといって中傷されるいわれはない。
選手仲間やツアー関係者、会場に足を運んだことのあるファンであれば、長く練習場で時間を費やし、日が暮れるまでショットやパッティングの調整に勤しむ金田の姿を見たことがあるはずだ。「練習してないくせに」と言う人間はおそらく試合をまともに見たこともないだろう。所詮は永遠に顔を見せない他人に過ぎない。
だから気にしなければいい――迂闊にそう言ってしまうことも、金田の話を聞くと無責任に思えてくる。