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「昔はイキってた。今はイキってない!」ゴルフ界の異端児“ギャルファー”金田久美子33歳はいつから「謙虚な人」を目指すようになった?
posted2023/02/28 11:06
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Atsushi Tomura/Getty Images
1月下旬、ダウンタウンの浜田雅功が11年ぶりのツアー優勝を祝う会を仲間内で開いてくれた。その席で金田久美子は格闘家の武尊から自らの経験に通じる話を聞いた。
武尊が語っていたのは、試合を迎えるまでの不安な思いについてだった。ある日は減量に失敗する夢を見る。またある日は相手に打たれまくる夢を見る。そうした悪夢が続いて全く眠れなくなる。
金田にも経験があった。
「私も夢を見るんです。開幕のだいたい2週間ぐらい前から、OBが止まらなくなる夢とか……」
シーズンの訪れを知らせてくれるのは、春風や鳥のさえずりみたいな爽やかなものではなく、眠れない夜と体の変調。
「シーズンに入ると目の周りがずっとぴくぴくするんですよ。疲れが溜まったり、嫌なことがあると蕁麻疹も出るしね。オフの間は不思議なくらい何も出ない。どうしてですかね」
ただ、戦いの場に向かう人間は多かれ少なかれそうなのだと武尊の話で気づき、安心することができた。
「アスリートはみんな同じなんだなと思うと少しは気が楽になります。自分だけが辛いわけじゃないんだって」
出場した試合は400超え
思えばコースに向かうだけで泣き出し、嘔吐していた数年前は心に余裕が全くなかった。中学生の頃からツアーに出始め、プロになってからも年間30試合を当たり前に戦ってきた。ツアー通算の出場試合数はアマチュア時代を含めれば、すでに400を超えている。
ゴルフのシーズンは3月に始まって11月まで続く。12月はスポンサーやメディア関係の仕事でほぼスケジュールが埋まり、1月や2月はもう次のシーズンに向けて動き出さなければいけない。金田はずっと息継ぎしないまま走り続けてきたのだった。
「毎年毎日試合だったから、やっぱり心がついていかなかったのかな。ちょっと前までは、もう毎日が地獄でした。ゴルフが嫌で、遊んでいる時でも気持ちが晴れない。いろいろなものが溜まりに溜まってぐちゃぐちゃになっていたのかもしれないですね」