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茶髪、へそピ、派手ネイル…“ギャルファー”金田久美子33歳「ゴルフつまんない。何なのこれ?」と思ってたのに20年以上も長続きした理由
posted2023/02/28 11:04
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Taichi Chiba
ゴルフは……好きですか?
そう尋ねると、金田久美子はかすかに笑いながらこちらをじっと見た。困ったようなその目は「はい、好きです」と心にもないことを言うべきか、それとも本音を伝えるべきか考えているようだった。
金田は黙ったまま首を横に振った。彼女が選んだのは後者だった。
「好きじゃないです。だって小さい頃はやらされてましたもん。好きでやってたわけじゃないし、ゴルフをやりたかったわけでもないから、そこは他のプロと違うかもしれない。もうゴルフをしなきゃいけない運命だと思ってた(笑)」
ゴルフ好きの父親に勧められるがまま、物心ついた頃には始めていたゴルフ。金田にとって不幸なことがあったとすれば、本人の意欲とは裏腹に相当な才能があったことだった。
タイガー・ウッズと同じ8歳で世界ジュニアを初めて勝ち、同大会では通算5度の優勝を果たした。中学1年生だった2002年6月のツアーでは予選通過の最年少記録(当時、12歳9カ月)を樹立。“キンクミ”と呼ばれ、天才少女の名をほしいままにした。
茶髪、へそピ、派手ネイル…
プレーだけでなく、そのファッションでもツアーを驚かせ、騒がせた。茶髪、ピアス、へそ出し、へそピアス、ノースリーブのウェア、ネイルアート――。「ギャルファー」と呼ばれ、下手をすればへそどころか腰骨ぐらいまで平気で出していた。
ツアーでは4学年上の宮里藍がようやく台頭してこようかという時期である。ゴルフといえばゴリゴリに“おじさんのスポーツ”であり、まだ一般的には子どもが練習場やコースに出入りするのもはばかられるような封建的な空気が残っていた時代。そんな中でキンクミの異端児っぷりは際立っていた。