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「もう顔面蹴るのはやめてよ」オカダ・カズチカの強さにノアのファンも諦めのため息…清宮海斗は“圧倒的な差”を埋めることができるのか?
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/02/25 17:00
2月21日、ノアの東京ドーム大会で清宮海斗にドロップキックを放つオカダ・カズチカ。格の違いを見せつけ、時間無制限の1本勝負は16分32秒で決着した
“クン”から“選手”に…変化した呼称が意味するもの
試合時間は16分32秒。30分どころか、20分を超える試合にもならなかった。「絶望を味わわせる」を実現させてみせたオカダは「結果は出ましたから、もういいでしょ」と因縁の終結を強調。しかし王者でありながら挑戦者として自分の前に現れ、時間無制限での完全決着に拘った相手のことを「清宮“選手”」と呼び、「僕のところまでたどり着いたことだけは評価していいんじゃないですか」と心意気は買った。
昨年1月、オカダはリングで泣いた清宮をこう評していた。
「清宮“クン”かな。呼び捨てにもできないレベル。これが実際の差」
であれば、差はほんの少しは縮まった。「今日の結果で『またすぐやりたい』もないと思う」と言われるほど、まだまだ大きな差ではある。しかし、35歳と26歳の彼らの物語は、本当にここがゴールなのだろうか。
清宮が強引にオカダを引きずり出す、という形はもうないだろう。しかし、この大会を見た者は、プロレスラーでいる限り「もう絶対に交わることはない」はない、と身に染みて理解したはずだ。
「もう顔面蹴るのはやめてよ、と。しっかりプロレスでやっていけたらいいな、と思います」
次があるとすれば、それは清宮がプロレスでオカダを振り向かせた時だ。オカダは、誰かが自分のところまで上がってくることを期待してもいる。大きな差を埋めて、そこに清宮が立ってみせた時、プロレス界にかつてないほどの金の雨が降るに違いない。