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「もう顔面蹴るのはやめてよ」オカダ・カズチカの強さにノアのファンも諦めのため息…清宮海斗は“圧倒的な差”を埋めることができるのか?
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/02/25 17:00
2月21日、ノアの東京ドーム大会で清宮海斗にドロップキックを放つオカダ・カズチカ。格の違いを見せつけ、時間無制限の1本勝負は16分32秒で決着した
しかし、見方を変えればハイリスクでもあった。この試合は、両団体の王者対決でありながらも、王者と挑戦者という立ち位置が明確な構図で始まるからだ。通常のプロレスでの戦い方からは大きく外れた強引な方法でオカダとのシングルマッチを掴みとった清宮は、その方法を採用した時点で「対等ではない」と受け取られ、挑戦者の立ち位置に回ることになる。この構図で挑戦者側が敗れてしまえば、格が違うことを受け入れるしかなくなってしまう。
つまり清宮は勝つしかなく、そんな彼が望む時間無制限の戦いは、死力を尽くしきった先に、ようやく決着が訪れるような超長期戦になる理由が十分にあった。
オカダはゴングが鳴るとギロリと清宮を睨みつけ…
しかし、そういう試合にはならなかった。
ノアのリングでありながらオカダが清宮の後に入場してきたことで、王者vs.挑戦者の色がより濃くなった。さらにオカダは試合開始のゴングが鳴るとギロリと清宮を睨みつけた。清宮もジッとオカダを見つめたものの表情は硬く、先の構図がますます色濃くなっていった。
いきなり場を支配してみせたオカダは、その後も格の違いを示し続けた。動きを止められた清宮は、怯みを振り払って正面から向かっていったが、ロープに押し込められてしまった。飛びついてエルボーを放てば場外に放り出され、「ナメるなよ」とばかりに急いでリングに戻り突っ込んでいけばジャーマンで投げられ……と、散々な立ち上がりになった。
いいようにやられてしまった清宮は、開始から5分と経たずに、ダイビングエルボードロップからレインメーカーポーズを披露するオカダを下から見上げることになった。オカダは清宮との差を東京ドーム全体に見せつけるかのように、あえて長めにポーズを取っていた。
これでスイッチが入った清宮は反撃を見せたが、勝負を決めるには至らず。レインメーカーにカウンターのジャンピングニーを合わせたり、高さのあるドロップキックを放ったりと持ち味を見せたが、シャイニング・ウィザードでもタイガースープレックスでもカウント2。ならば、と再びシャイニング・ウィザードを狙ったが、突進したところで担ぎ上げられ、開脚式ドライバーで一気に形勢逆転。冒頭のレインメーカーの場面に繋がった。