最初の結婚でブラジル人女性との間に二児をもうけた後、2017年にスペインの著名モデルであるジョアナ・サンツさんと再婚。アウベスが収監されたのを知ったサンツさんは、当初、「彼は絶対にそんなことをする人ではありません」と断言。自身のSNSに2人で指を絡ませた写真を投稿し、「トゥゲザー」（一緒に）という英語のフレーズを添えて信頼を示した。

アウベスと妻のジョアナ・サンツさん ©Getty Images

　しかし数日後、SNSからアウベスの写真をすべて削除する。このため複数のスペインメディアが「アウベスとの離婚を決意か」と報じたが、「夫が人生で最も困難な時期にあるときに、彼を見捨てるようなことはしない」として、当面は離婚を考えていないとしている。

ブラジルの弁護士に聞くと「無罪の可能性は極めて…」

　事件を知って、アウベスの母親と兄弟もブラジルからバルセロナに駆け付けた。しかし、アウベスは刑務所で彼らと面会することを拒絶。ブラジルのメディアは「こんなことになって、家族に合わせる顔がないのだろう」と推測している。

　一方、アウベスの弁護団は、彼が警察への供述内容を再三変えたことについて、「妻に対して不貞を働いたことを隠したかったから」と説明。「判決が下されるまで、絶対に国外逃亡はしない」として、「パスポートを警察に預ける。GPS機能が付いたブレスレットを常に装着する。問題の女性から500m以内には近寄らない」という条件で判決が下されるまでの仮釈放を願い出た。しかし、今月22日、裁判所はこの請願を却下。今後、早ければ60日前後、遅ければ今年後半に判決が下されると予想されており、少なくともそれまでの間、引き続き刑務所に収監された状態が続くものとみられている。

　スペインでは、昨年10月、性犯罪に関して従来より厳しい法律が発令された。当事者の完全な同意がなかった性行為は、暴力が介在したかどうかにかかわらず「性的暴行」とみなされ、4年以上12年以下の禁固刑が科されるという内容だ。

「『ダニ・アウベスの刑務所収監にショックを受けている』とシャビ（バルセロナ監督）」（1月21日の日刊紙「コレイオ」電子版）

　スペインの法律に詳しい複数のブラジル人弁護士が、「この新法の影響もあり、アウベスが無罪を勝ち取るのは極めて難しい」という見解を述べている。

　刑務所内で、アウベスは「僕の人生で最大のピンチだ。でも、これまでも大変な困難を乗り越えて人生を切り開いてきた。この苦難も乗り越えてみせる」と他の囚人に語っているそうだ。

数年前、アウベスの故郷で母親に話を聞いた記憶

　数年前、筆者はアウベスの生まれ故郷を訪ねて母ルシアさんに話を聞いた。「ダニエルは一族の誇りなの」と素朴な笑顔を浮かべたが、彼の少年時代について質問を重ねると、少しずつ顔色が変わっていった。

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