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香川真司「4662日ぶりJ復帰戦」でカメラマンが見たものとは? セレッソの象徴「8」ではないスパイクの「10」が“映えていた”ワケ
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/02/23 17:03
2010年5月15日以来、4662日ぶりにJリーグのピッチに戻ってきた香川真司。セレッソ大阪のサポーターは盛大なチャントで背番号8を出迎えた
Jリーグにとっても香川真司の復帰は大きい
試合後の挨拶で、背番号8は先頭を歩いていた。
「サポーターの作る雰囲気は自分が経験したことのないもので、すごく驚いたし、あらためてスイッチが入った。感謝したい。シーズンが始まったな、と感じさせられる瞬間でもあり、自分にとって大きな第一歩だった」
香川の復帰はセレッソだけでなく、Jリーグにとっても大きなものだ。
「ぜひJリーグを盛り上げてほしい」
入団会見でかつての背番号8・森島社長はそう言い、開幕戦を終えた小菊監督は
「やはりあらためて、サッカーファミリーを楽しませてくれる選手だと感じた」
と付け加えた。
このオフ、Jリーグの公式YouTubeで、FC東京の長友佑都が「テレビとかニュースでJリーグが出てこない」と野々村芳和チェアマンに話す様子が公開された。2021年に11年ぶりにJ復帰をしてから1年半が経った彼は「これじゃ選手も知られないし、そもそもJリーグがやっていることを一般の人が知らない」と危機感を露わにしている。
今シーズンのJリーグは、川崎フロンターレvs.横浜F・マリノスという、直近6シーズンのリーグタイトルを分け合っている2チームによるビッグマッチで2月17日に幕を開けた。しかし地上波のニュースやスポーツ新聞での扱いは、同日にスタートしたWBC日本代表の宮崎キャンプに上回られた。
キー局・全国紙とローカル局・地方紙で状況が異なる部分もあるが、メディア側の実感としても、サッカーは日本代表の試合がないと不特定多数のライト層に届きにくくなってしまっている、という状況にある。
スパイクの「#SK10」を見て、香川の存在は、そんな閉塞感を突き破る嚆矢になりうるのでは……という期待を抱いた。チーム合流から開幕戦まで、個人で連日ニュースになり続けることができる選手が、果たしてどれだけいるだろうか。背中につけたセレッソの象徴「8」と比べるのはナンセンスだが、そんなことを考えてしまうくらい、日本代表のエースナンバーを背負い続けた男の「10」は映えていた。
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