炎の一筆入魂BACK NUMBER
「僕が出るところなんてない」侍ジャパン不選出の広島・西川龍馬が、WBCに微塵も未練を見せない理由《吉田の後輩、誠也と同学年、近藤は自主トレ仲間》
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/02/17 17:01
キャンプでバットを振り込む西川。今後のプロ人生を左右するであろうシーズンだけに、端からWBCを意識していなかったのかもしれない
「選手会長(大瀬良大地)に行けと言われれば、そりゃあ行きますよ。一発目なので、しっかり言いたいことを言わせてもらいました」
やや照れた表情からは、覚悟に似た自覚が滲んだ。昨年は下半身のコンディション不良もあり、約2カ月離脱した。プロ7年で、規定打席到達は2度。レギュラーとしてシーズンで上位争いした経験はなく、2年続けて試合に出続けたこともない。
プロ8年目で殻を破るために
「本気と書いて“マジ”」
今季の目標は至ってシンプル。やるしかない。思うように殻を破り切れない現状にジレンマを感じているのは自分自身。中軸として打線をけん引するだけでなく、若手も引っ張っていく。キャンプでは、全体練習終盤の「重点練習」に入っていない小園海斗や木下元秀ら若手とともにバットを振り、アドバイスを送る姿も見られる。中心選手としての自覚が芽生えたのだろう。
「多少は。基本は野間(峻祥)さんたちに任せて、プラスアルファ、僕がやれればと思っている」
飄々と、淡々と、そしてクールに。周囲が邪推するようなWBCへの未練は微塵もない。一方で西川に生じた変化は、周囲が求めてきたものでもある。今こそ、磨き続けてきた技術と体を昇華させるとき。世界の舞台に立てなくても、心技体が整った今年、新たなステージに上がっていくに違いない。
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