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朝まで飲んで猛打賞→優勝を決めた“近鉄の4番”…女性トラブルを乗り越えた男も“江川卓には降参”「1球もストレートを振れなかった」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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photograph byBUNGEISHUNJU

posted2023/02/14 11:00

朝まで飲んで猛打賞→優勝を決めた“近鉄の4番”…女性トラブルを乗り越えた男も“江川卓には降参”「1球もストレートを振れなかった」<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

「江川卓の球は凄かった」。あのオールスターで対戦した“近鉄の4番”栗橋茂が江川の衝撃を語った

ある女性の告白「子供ができました」

 日本シリーズでは絶不調に陥ったが、この年の栗橋は打率3割2分8厘、28本、84打点という好成績を収め、最高出塁率のタイトルを獲得。2年連続でベストナインにも輝いた。その裏で私生活では頻繁にトラブルに見舞われていた。ある時、女性が母親を連れて、「嬉しい話があるんです」と栗橋の家を訪ねて来た。

「『それって僕にも嬉しい話? 悲しい話じゃないの?』って聞いたら、『嬉しいと思います。子供ができました』と言うの。でも、明らかにお腹の出方が不自然なんだよ。さらしか腹巻きをしてたんじゃない? しかも、すぐお金の話になって『この子もね、結婚できないんだったら、お店をやらせたいなと思う』ってお母さんが言うの。何か証明を見せるわけでもないし、(妊娠予定日を聞くと)計算が合わない。嘘だなって思ったけど、350万円渡したな。球団には伝えてないよ」

 女性との揉め事が起これば、グラウンドでのプレーに悪影響を及ぼすのではないか。

「逆だったね。普段の生活と比べると、野球のプレッシャーなんて楽だったもん。やっぱり、プライベートで厳しいところを乗り越えないと(笑)。今の選手が俺と同じことしたら、アウトだと思うけどね」

北海道で“顔面直撃の流血騒動”

 栗橋は派手に遊び、豪快に打った。そして、顔面が砕け散りそうになる大ケガも負った。1982年7月17日からの2日間、日刊スポーツが北海道本社20周年を記念し、札幌・円山球場で近鉄対西武戦を主催した。前年、ケガで離脱していた栗橋は2年ぶりの訪札だった。

「当時、北海道遠征は年1回しかなかった。ウキウキしたよ。夜楽しいからね。札幌に入った日、友達の家に行ったの。北海道って、風雪を防ぐために家のドアの前に、もう1枚厚い透明なガラスドアを置いているんだよね。帰る時、そんなことを忘れてダッシュで出ていったの。そしたら、思いっきり顔面をぶつけた」

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