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WBC辞退の本音…柳田悠岐が明かしていた“調整失敗のトラウマ”「開幕時に体重が90→103キロに…」「甘い食べ物に目覚めちゃって」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJMPA
posted2023/02/05 17:00
東京五輪では金メダル獲得に貢献したソフトバンク・柳田悠岐
1年と少し前の自主トレでは「今年はホームラン40発打つ」と息巻いていたが、新型コロナウイルスに感染してしまい、一時療養施設での生活を余儀なくされた。プロのアスリートだからといって、食事面で特別な待遇などない。口が寂しくなった柳田は知り合いに差し入れをお願いして食べ物を持ってきてもらった。カップ麺やフルーツサンド、大福などを「バクバク食べた」という。
「運動もせずに食べるだけ。もともとお菓子を食べる方じゃなかったけど、甘い食べ物ってこんなに美味いのかって目覚めちゃって。それで太ったのもありますし、復帰後もその時の習慣が身についたように食べてしまっていたんです」
さすがにマズいと思い、シーズン中も体重を落とす努力は行っていた。試合後もエアロバイクを漕いで汗をかいた。
「だけど、一度ついたゼイ肉はなかなかとれない。そもそも増え方が良くないし」
昨季は「試合に出たくないと思った」
超人ギータとはいえ、そのような状況では持ち前の打棒を振るえるはずがない。
「序盤は打率が2割5分もいかなくて。感覚も良くない。嫌やな。試合に出たくないと思った」
打撃フォームをコロコロと変えた。もともと柳田は試行錯誤しながら打席に立つタイプ。そのためシーズン中に自分の感覚の中で打撃をいじるのは珍しくない。
「いつもは変えたら、すぐにハマって結果が出るんです。だけど去年は変えても打てなかった」
当然ストレスを抱える。すると、またお菓子に手が伸びて体重が落ちないという悪循環に陥ったようだった。
「コンディションってやっぱり大事なんやな。それを改めて思った一年でした」
昨年のソフトバンクは最後の最後までリーグ優勝を争った。シーズン最終盤の大事な試合で、柳田は値千金のホームランも放ってみせた。しかし、シーズン143試合目の最終戦で敗れて頂点を逃し、クライマックスシリーズでもオリックスの前に敗退した。
「2割7分で休む余裕はない」
そうして突入したシーズンオフ。柳田はすぐに、一定のあいだ固形物を摂取しないことで消化器官を休めたり、体をデトックスすることを目的とするファスティングに「人生で初めて」取り組んだりした。