草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日・平田良介はなぜ、レガースも肘当てもつけず打席に立っていたのか 引退決断した多才な打者が「最後のプロ野球選手」であった2つのこと
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/11 11:02
ユニフォームを脱ぐ平田。細部にわたるこだわりを持った野球人だった
ヘルメットに装着するフェイスガード、エルボーガード、スネ部分のレガース。死球や自打球の衝撃を緩和し、故障のリスクを軽減するこの3点セットは、今や打者の必須アイテムだ。少なくともヒジとスネは護る選手が大多数だが、平田は一切つけなかった。こちらも恐らくは日本球界でオンリーワン。
「僕、何かをつける感覚が苦手なんですよ。できれば身軽に打席に立ちたい。あまり自打球が当たらないというのもありますが」
平田だけが抗った時代の流れ
武士に例えるなら、バットは刀であり、防具類は甲冑だ。「しなり」を譲らず、戦場(グラウンド)を軽やかに駆け巡るために、防護力を捨てた。誰もが現状を受け入れ、自分の感覚の方を新たなバットに近づける努力をした。重い、煩わしいのを我慢して、様々なアイテムを装着した。それが時代の流れ。人と同じを嫌ったからではないのだが、結果として平田だけが抗った。それも個性。そんな選手が野球界を去る。
小学生から始めた野球。当時、球場やテレビを通して観たプロ野球選手に夢を与えてもらいました。自分もプロ野球選手になることができ、今度は自分が「夢を与えたい」その想いで17年間頑張ってきました。今日、現役を終えることになりますが、少しは夢を与えられたのかなぁ…と思いながらも、まだ夢を与えきれていないと思う気持ちもあります。今後についてはまだ模索中です。ただ、これからもどんなカタチになっても、野球を通して子供たちに夢を与えていきたいですし、人の夢をサポートできる人間になりたいと思っています。野球しかやってこなくて、不器用で、世の中の事は正直わかってはいませんが、来年からは社会人のルーキーとして、頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします。
心を込めた文章で、引退報告を結んだ。きっと野球人としての第2章も、個性あふれるスタイルを貫くことだろう。
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