箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「ラストで『男だろ!』と言われて…」駒澤大・大八木弘明監督が6区の1年生に叫んだ“最後のゲキ”…区間賞ルーキー伊藤蒼唯は「言われたことは誇り」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2023/01/08 17:01
6区・伊藤蒼唯のラスト3kmから大八木弘明監督を乗せた白のミニバンが後ろから追走。勇退する指揮官が最後に叫んだのは…
大八木監督から檄を受けた伊藤は中央大に47秒差をつけて7区の安原太陽(3年)に襷を渡した。タイムは、58分22秒で出走前の予想タイムにドンピシャに合わせ、区間賞を勝ち取った。伊藤が好スタートを切ったことで復路にいい流れが生まれた。伊藤が中央大につけた47秒差を7区の安原、8区の赤星雄斗(3年)、9区の山野力(4年)、そしてアンカーの青柿響(3年)の4名でゴールするまでに1分42秒差まで広げた。
9区の山野主将がレース後、「6区の伊藤がすごくいい流れを作ってくれた」と語ったように後ろの上級生たちの走りにも確実にプラスに働いた。
「ゴールで優勝の瞬間を味わえたこと、監督を胴上げできたことは一生の思い出ですね」
大きすぎるダメージ、6区は「正直、走りたくない」
伊藤は、レース後、ホッとした表情を見せた。だが、足は6区を駆け下りたダメージが大きく、その衝撃的な疲労は想像を超えたものだったようだ。
「来年も6区を走りたいかというと、今は足がボロボロの状態なので正直、走りたくないですね。10月、11月になったらそういう欲が出てくるのかなと思いますが、まずは圭汰や山川に追いつくことを目標にしつつ、箱根で平地の区間で走れるぐらいの走力を付けていきたいと思います」
山の5区6区は、2年連続で区間賞を獲るぐらいの快走を実現するのは難しい。周囲から過度に期待され、選手もプレッシャーを感じ、気負って走り萎縮してしまうからだ。
だが、それでも山川や伊藤の颯爽とした走りを見ると次も期待してしまう。
来年の100回大会、駒澤大が箱根駅伝2連覇、史上初の2年連続の3冠を達成するためには、ふたりの山での快走が大前提になる。
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