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「ラストで『男だろ!』と言われて…」駒澤大・大八木弘明監督が6区の1年生に叫んだ“最後のゲキ”…区間賞ルーキー伊藤蒼唯は「言われたことは誇り」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2023/01/08 17:01
6区・伊藤蒼唯のラスト3kmから大八木弘明監督を乗せた白のミニバンが後ろから追走。勇退する指揮官が最後に叫んだのは…
「自分は、中学の時から地元の長野の山を走っていたので上りには自信があります。でも、下りがまったく走れないんです。そこをうまく走れないとラストで抜かされてしまう可能性があるので箱根までに下りをしっかり走れるようにしていきたいと思います」
5区は、前回大会で山上りを担った金子伊吹(3年)や大坪幸太(4年)が候補におり、部内競争が激しさを増していた。だが、金子が11月に足を痛めて調整不足となり、好調の山川が5区の椅子を勝ち取った。出走前は、青学大の若林宏樹(2年)を意識したが、当日変更で出走がないと分かり、勝負できないことが残念に感じられるほどスタート前の調子は良かった。
かなり不安に感じていた「上り」
函嶺洞門(3.6キロ)では、小田原中継所で同着だった青学大に15秒の差をつけ、大平台(7.1キロ)では2位に上がった中央大に19秒の差をつけた。だが、大八木監督は、前年の金子のタイムよりも遅く、「大丈夫か」と心配したという。山川は、体が動かない異変を感じながら山を上っていた。
「上りに入ったぐらいから気温が下がって体が動かなくなって、これは本当にまずいって思っていました。下りがあるから大丈夫だって自分に言い聞かせたんですけど、かなり不安でしたね」
山川が底力を見せたのは、16.2キロの最高地点からの下りだった。苦手だと語っていた下りで中央大との差を広げ始めた。
「下りの練習の成果が出ました」
全日本以降下りを克服しようといろんな人に話を聞き、下りの走り方を教えてもらった。