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「ラストで『男だろ!』と言われて…」駒澤大・大八木弘明監督が6区の1年生に叫んだ“最後のゲキ”…区間賞ルーキー伊藤蒼唯は「言われたことは誇り」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2023/01/08 17:01
6区・伊藤蒼唯のラスト3kmから大八木弘明監督を乗せた白のミニバンが後ろから追走。勇退する指揮官が最後に叫んだのは…
「出雲で圭汰(佐藤)が走って2区区間賞を獲り、全日本では圭汰が出て、山川は4区区間賞を獲ったんですが、僕は補欠や応援で走れなかったので、ほんと悔しかったです。箱根では何としてもという思いでいたのですが最初、6区は帰山が走る予定になっていました。でも、帰山の足の状態があまりよくなくて、レースの1週間前ぐらいに監督にいくぞと言われて。運が回ってきた感じで嬉しかったですし、決まった以上はしっかり走ろうと思っていました」
出走予定だった帰山と考えた6区のレースプラン
レース前、出走予定だった帰山と6区のレースプランと目標タイムを考えた。前回大会は順大の牧瀬圭斗が58分22秒で区間賞だった。今回も同じぐらいになるのではないかと予想して、そのタイムを目標にスタートした。
「復路をトップでスタートし、優勝がかかっていたので、最初はかなり突っ込んで入りました。中央大の若林(陽大)さんは4年生の6区経験者でコースを熟知していましたが、自分は何も知らない状況で臨んだので、フレッシュさを活かして、とにかく積極的に行こうと。できれば最初、30秒差だったので、それ以上、離したかったです」
序盤の上りは得意ではなかったが、下りには自信があった。最高地点から下り始めると、足が回り、加速して坂を落ちて行った。途中、各ポイントに先輩たちが立ち、「区間賞ペースだ」と声を掛けられ、それからは区間賞を意識して走った。
監督を胴上げできたことは一生の思い出
最後の3キロで、運営管理車が合流した。大八木監督からうしろとのタイム差がアナウンスされ、「最後、男だったら行くぞ!」と声がかかった。すると、ペースが少し上がった。
「ラストで『男だろ!』と言われたんですが、いざ自分が言われる立場になると、ちょっと気合が入るといいますか、もう1回頑張ることができました。あの言葉は言われる人の方が少ないですし、今回で最初で最後になったので、自分は言われたことを誇りに思っています」